この判決を受けてウーバーは、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に対し、ロンドン交通局から18カ月間ライセンスを受けたことを明らかにし、「当社の安全への取り組みが認められた」と述べた。
2019年にロンドン交通局(TfL)は、ウーバーのプラットフォーム上で、身元を偽ったドライバーによる1万4000回以上の運行が行われていたことを突き止め、ウーバーの営業免許の更新を拒否していた。
営業ライセンスを取り消すにあたり、ロンドン交通局はウーバーが、乗客たちを危険にさらす行為を行っていると指摘していた。CNBCによると、28日の判決を下した裁判所の判事は、「ウーバーがもはや公共の安全に対するリスクをもたらさないという十分な確信がある」と述べたという。
ウーバーは交通局にライセンスを取り消されたが、法廷で異議申し立てを行ったため、営業は継続できていた。
今回の判決を下した、Tan Ikram判事は、「ウーバーは過去に誤った行為を行ったが、状況の改善に務めている」と述べた。判事によると、ウーバーはかつて「歴史的な失敗」を犯したが、今ではロンドンで営業許可を与えられるための資格を備えているという。
ロンドンのブラックキャブの運転手らの組合「Licensed Taxi Drivers’ Association」は、今回の判決を「ロンドンにとっての災難」と呼んでいる。「ウーバーが、顧客の安全を顧みない企業であることは明確だ。しかし、彼らに規制の網をかぶせることは、大きすぎて困難なようだ」と彼らは続けた。
CNBCによると、ウーバーはロンドンにおいて350万人の利用者を抱えており、ロンドンは同社にとって欧州最大の市場だという。また、ロンドンにおけるウーバーのドライバーの人数は4万5000人以上に達しているという。
ウーバーは今年4月、ロンドン交通局の懸念を払拭するために、複数の顔認証システムと人力による照合作業の仕組みを導入し、ドライバーの本人認証を行うようになっていた。
2017年に交通局がウーバーのライセンス申請を拒絶した際には、安全への取り組みや企業カルチャー、さらにはガバナンスが基準に満たないと指摘していた。ウーバーは社内でGreyballと呼ばれるアプリを用いて、当局による監視をすり抜けようとしていたとされている。