ブライトライン・ウェストは、ロサンゼルスからラスベガスの中心地までを3時間弱で結び、料金は80ドルほどだ。高速走行をするのは、砂漠地帯であるビクタービルからラスベガスまでの169マイルに限られている。ブライトラインの車両は電動であり、また走行する車両数を減らすことでCO2の削減に貢献することが期待されている。
このため、同社が発行する免税債は、ESG(環境、社会、ガバナンス)投資としてミューチュアルファンドや個人投資家以外にも幅広い投資家の関心を集めている。
「ESG投資は、米国だけでなく、海外でも拡大している。このプロジェクトはグリーンでサステナブルであり、通常の輸送関連プロジェクトに比べて幅広い投資家にアピールすることが可能だ」とEdensは言う。
フーバーダム級の巨大プロジェクト
Edensによると、ロサンゼルス-ラスベガス間の路線建設には総額約80億ドルを要し、このうち60億ドルはデット・ファイナンスにより調達する予定だという。
フロリダの路線で機関車を提供している重電大手シーメンスが、西海岸のプロジェクトで高速電気鉄道を製造する。ブライトラインは当初、リチャード・ブランソン率いるバージン・エンタープライゼスとライセンス契約を結び、新プロジェクトを「バージン・トレインズ(Virgin Trains)」として運行する予定だったが、8月にバージンとの提携を打ち切った。
8月に、南カリフォルニアで通勤列車システムを運行する「メトロリンク(Metrolink)」は、将来的にブライトラインがランチョクカモンガでメトロリンクの鉄道ネットワークに接続する計画を承認した。ランチョクカモンガは、ロサンゼルスのダウンタウンから40マイル東に位置する都市だ。この計画が実現すれば、ブライトラインの車両がユニオン駅まで運行することが可能になる。
また、メトロリンクとブラントラインは線路を延長し、ビクタービルとロサンゼルスから1時間ほど北に位置するパームデールまで結ぶ計画を協議中だ。これが実現すれば、ブライトラインはカリフォルニア高速鉄道プロジェクトに参画することになる。カリフォルニア高速鉄道プロジェクトでは、パームデールに駅を設置する計画だ。
Edensは、乗客の運賃で大きな収益を上げると同時に、カリフォルニア州とネバダ州の経済に好影響を与えることができると考えている。
「3万人を超える建設作業員を雇用し、経済に60億ドルの影響を与え、8億ドル以上の税収入を連邦政府と州政府にもたらす。これだけでも巨大なインパクトだが、このプロジェクトはフーバーダムのように何世代にも渡って人々にサービスを提供する資産になるだろう」とEdensは話す。
社債の引受証券会社には、モルガン・スタンレーやバンク・オブ・アメリカ証券、シティグループ、UBSドイツ銀行などが含まれる。