ビジネス

2020.10.06 08:00

バズで市場を塗り替えた 髭剃りスタートアップの意外な勝ち筋


ダラー・シェイブ・クラブを買収したユニリーバは、急成長したスタートアップを素早く取り込むことで、米国の髭剃り替刃市場の16%(数量ベース)を手にできました。ジレットを擁するライバルP&Gを尻目に、伸びると期待される男性ケア市場への足掛かりができて、お買い得だったのではないでしょうか。

ダラー・シェイブ・クラブに追従したビジネスモデルで、2年後に創業したハリーズ(Harry’s)も、約400億円を調達して成長中です。

こうして、ダラー・シェイブ・クラブが起こした革命は髭剃り市場を大きく変えました。なかなか動かない大企業を尻目に、既存のシステムを大胆に組み替えるというDXを、スタートアップが実行した好例です。

情報経営イノベーション専門職大学教授で、自らもコカ・コーラ パークなどのDXを実践してきた江端浩人氏は、「市場が喜ぶDX」の重要性を唱えています(『マーケティング視点のDX』参照)。ダラー・シェイブ・クラブの例は、まさに供給者論理から脱却し、顧客視点で革新することの大切さを物語っています。

また、商品をマス・マーケティングで小売に流して買ってもらうのでなく、ユーザーと直接つながり、声を聞き、反応を分析して、仮説検証と改善を行うサブスクリプションは、DXの分かりやすい例でしょう。

江端氏は、DXの中でも盛り上がりを見せるサブスクリプションについても、「いいサービスを提供し続けることで安定した顧客を確保し、顧客も満足して何回もリピートするモデルは、おもてなしの精神のある日本人と相性がいい」とも語っています。日本でのDXでもぜひ参考にしたいものです。

連載:ドクター本荘の「垣根を越える力」
過去記事はこちら>>

文=本荘修二

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事