「スマートシティ化」を加速させるには? デジタル新時代を拓く5つの方法

デジタルインフラの新時代を切り開くための5つの提言とは(Photo by Unsplash)


2. 進化するテクノロジーに対応する柔軟さを


テクノロジーは急速に変化するため、次にやってくる画期的なテクノロジーがすぐに廃れてしまうこともあります。そのため、政府はテクノロジーと付随するリスクに対し、先を見越したアプローチをとらなければなりません。

法と規制が変化のスピードに追いつかず、刺激的な新しいイノベーションの実行を遅延させる恐れもあります。これに対する答えは、特定のテクノロジーより将来の成果に重点を置いた、可能なかぎり柔軟な規制と調達ガイドラインを策定することです。

リスク対処する場合にも同様のことがいえます。政策立案者は、新しいテクノロジーが環境、雇用、ソーシャル・インクルージョン、データセキュリティにどのような影響を及ぼすかを予測しなければなりません。厳格なデータ保護、環境基準、計画的な再教育などを通じて、及ぼしうる悪影響を予想・対処する必要があります。

3. データを政策の中核に据える


データは、インフラ・テックの原動力です。それは、私たちにとって最も貴重な資産であり、通信、電力、水、輸送、デジタルな公共サービスなどのインフラを牽引しています。

最先端のデータ分析によって、新型コロナウイルスの感染拡大をいかに正しく追跡できるか、また、食料と生産サプライチェーンのモニタリングをいかに正しく行えるかが、ここ数カ月の間に各国で証明されてきました。

政府のデジタル化が進む中、国民を中心とした見方に立つことで、保健、社会的ケア、教育、公益事業など、国民に必要なサービスへの平等なアクセスを徹底させることができます。

政府が、データの共有と相互運用性を促進すればするほど、アイデアの拡散が促され、イノベーションが喚起されます。そのため、政府は、官民双方のデータの収集、処理、アクセシビリティを優先課題に据え、データの質と精度に重点を置くべきです。

また、データのプライバシーと保護が国民の信頼の土台となることも認識する必要があります。これは、インフラ・テックの採用を成功させるために、欠かすことができません。カナダのデジタル憲章は、信頼に基づく国家ビジョンを示した好例です。

4. 幅広い政策手段を活用する


政府は、インフラ・テックを加速するために自己裁量で使える手段を多くもっています。将来を見越した法や規制によって、イノベーションのチャンスが開けることは、前述しました。これらは分野や国をも越えて施行されるのが望ましいといえます。

大規模で高価なインフラ資産は、別のものに取って代わられた場合行き詰まる可能性があります。プロジェクトの調達と契約をライフサイクル全体にわたってみることで、より新しいインフラ・テックが出現したとき、政府は従来のインフラ資産を補強する柔軟性をもつことができます。また、リスクを低減する目的から、「サービスとしての」調達も広がりをみせています。
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文=Richard Threlfall, Global Head, KPMG IMPACT; Global Head, Infrastructure, KPMG

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