投資はギャンブルか? 「危険で怖い」というイメージが与える将来への損失

Witthaya Prasongsin/Getty Images

先日、実際にこれから投資を始めようか悩んでいる大学生と話をする機会があった。将来に金銭面での不安があるものの、どうしても投資の世界に踏み出せないという。

その理由を聞いてみると、投資に対して「ギャンブル」や「危険」というイメージを持っているからだという。それは誤った認識だと思うが、今回は「投資」と「ギャンブル」の違いについて、まとめてみたいと思う。

そもそも「ギャンブル」とは何か?


先の大学生に限らず、日本では確かに投資に対してネガティブな印象を持つ人は多い。

日本証券業協会が発表した「証券投資に関する全国調査(平成30年12月)」では、株式、投資信託、債券それぞれについて投資をしない理由を聞いたところ、全ての金融商品において「ギャンブルのようなもの」という理由が全体の3位となっている。

また、保有資産が預貯金のみで投資をしていない人に投資のイメージを質問すると、34.5%もの人が「投資はギャンブルのようなもの」と回答している。

ギャンブルといえば、一部の人が短期間で大金を手に入れる一方で、多くの人が巨額の損失を被り、最悪の場合にはお金が減るだけでなく、借金まで背負うというイメージがあるだろうから、それと投資が同じという考えなのであれば、なかなか投資をしようとは思えないのも無理はない。

書店で投資に関する書籍を見てみると、「〇億円稼げた投資法」などといった成功体験をまとめた書籍が数多く並んでいるが、その一方で、インターネット上には、投資で大損をした話や、投資に関する詐欺被害の報告などの話があふれている。

このような現状を鑑みれば、「投資=ギャンブル」という印象はこれから先もなかなか払拭されることはないだろう。

投資とギャンブルの違いについて言及する前に、そもそもギャンブルの定義を明確にしておきたい。

前述の大学生にギャンブルの定義を聞いてみたところ、「得するか損するか不明確なもの」という回答が返ってきたが、おそらく丁半博打のようなイメージを持っているのだろう。

仮にこの回答内容をギャンブルの定義とするならば、投資はギャンブルであるとも言える。いくら投資の勉強をして知識を増やしたり、投資対象について細かく調査をしたりしても、必ず投資で儲かるとは断言できない。元本が保証されているわけではなく、うまくいけば投資資産は増えるが、当然減ることもあるからだ。

しかし、ギャンブルの定義がそれになってしまうと、世の中には絶対と言い切れることはほとんどないわけだから、全てがギャンブルになってしまう。
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文=森永康平

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