ビジネス

2020.09.28

社会課題を自分ごと化する ファッションブランド「coxco」が目指す世界

「vol.0」のイメージヴィジュアル

「アパレル産業」が、石油産業に続いて地球環境を破壊していることをご存知だろうか?

原因は様々あるが、旧来のビジネスモデルを脱却できなかった故の大量生産やトレンドサイクルの加速による大量消費、それに伴う大量廃棄の他、生地原料栽培時の農薬による環境汚染、染色や加工過程での水の大量使用と水質汚染などが理由として挙げられる。

他にも、製品輸送時のCO2排出、過剰梱包による無駄な資源利用など、環境に負荷がかかっている点は枚挙にいとまが無い。私たちの生活に必要不可欠な服をつくる産業が、地球環境に悪影響を及ぼしているのだ。

こうした事実を受け、近年欧米を中心に、生産過程の環境負荷軽減や働く人々の労働環境の透明性を目指すブランドが増えてきた。

地球を守るために多くの企業が立ち上がりつつあるが、企業だけではこの地球は救えない。消費者である私たちも一丸となりこの問題に取り組む必要がある。

しかし、純粋にファッションを楽しんだり、生活のために服を選ぶ「消費者」がこうした社会課題を知り、「自分ごと」として向き合うことは安易ではない。

社会課題を自分ごと化するために


2020年5月、私、西側愛弓が代表を務める社会課題の解決を目指すファッションブランド「coxco(ココ)」をローンチした。

消費者が社会課題と向き合うハードルを少しでも下げ、プロダクトやその背景を通して課題を自分ごと化して考えることができるように、という想いが込められている。

coxcoはシーズンごとに展開するファッションブランドではなく、「服のかたちをしたメディア」として、毎コレクションごとにひとつの社会課題を取り上げ、服をつくっている。

もちろんファッションブランドであるからには「着て楽しい、ときめく気持ち」も大事にしているので、社会性を軸としながらもファッションとして成り立つ服を提案し、オシャレすることで結果的に「社会貢献していた」という状態を作れるブランドを目指している。

廃棄衣料、廃棄残布問題から生まれた服たち


コロナ禍の5月に立ち上げたデビューシリーズ「Vol.0」は、年間で約30億着と言われる「廃棄衣料問題」がテーマ。

想像できない数字だが、決して誰もがやみくもに服をつくり、売り買いをし、そして捨てているわけではない。 手放す前にまだ使えるかもしれないと誰かに譲ったり、 古着屋やフリマアプリで売ったり、リメイクしたり、服には様々な第二の道が用意されている。

けれど、どんなに工夫しても最終的には“不要な布”、 つまりゴミとして捨てられてしまう運命にあった。
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文=西側愛弓

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