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ドクター本荘の「垣根を越える力」


昔から「料理」「ハコ(内装やデザイン)」「人(スタッフ)」が成功する飲食店の3要素と言われていますが、競争優位性として最終的に価値として残るのは「人」だと同社は考えています。人の笑顔をつくるのが好きで上手な人、魅力的な人がたくさん集まっているのに、売上・客単価・原価率・人件費率といった指標に追われている飲食業界は、現状では手詰まり感があります。

そのなかで、クリスプは、人が生み出す顧客体験こそが飲食店の価値の源泉になると考えています。

「スタッフが1日8時間働いて200人のお客さまを『接客』することで、確かに一時的に売上は上がるでしょう。けれどもLTVを価値の軸として考えれば、1日2時間だけ働いて2人のお客さまと1時間ずつ話し込むほうが、会社が得る価値は大きいかもしれません」とクリスプの宮野浩史代表取締役社長兼CEOは言います。

クリスプサラダワークスでは、すでに店頭にディスプレイを設置して、スタッフが自宅からお客さまを接客する「オンライン接客」を始めていますが、これも1日に1人でもいいから熱狂的ファンをつくることを狙っています。非効率的と思われるかもしれませんが、LTVからみれば、大きな価値を生み出す可能性があります。

「働く人がすでに持っている『人を笑顔に、幸せにする力』、表面的な生産性だけではない価値を見える化し、その価値を収益につなげられるような世界をつくりたいのです」とも宮野社長は語っています。

単なるIT化や、情報システムやコンサルティングの売り文句に、DXを使うことが多いのが実情ですが、目的と手段を取り違えては、ただのムダに終わるでしょう。

ザッポスとクリスプは、本質で顧客に向き合い、価値を提供し、強いつながりを育み、新たなビジネスモデルの構築に挑んできました。DXが目的ではなく、目的のためにDXを導入しているのです。

顧客や人を重視したDXは、顧客視点や市場発想で戦略性が高いだけでなく、リアルとデジタルの「掛け算」の力を追求し、その効果を顧客から実感できるという、やりがいと面白さがあるものです。

皆が言っているからDXやらなきゃではなく、自らのビジョンや意志を持ってDXに取り組むのが、最も大切ではないでしょうか。

連載:ドクター本荘の「垣根を超える力」
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文=本荘修二 

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