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Photo by Noam Galai/Getty Images

新型コロナウイルスのパンデミックが米国の世帯に及ぼしている多大な経済的影響が、より明確になってきている。「大きな打撃を受けている」世帯が46%、「パンデミックが発生して以降、貯金をすべて、またはほぼ使い果たした」世帯が31%にのぼっていることがわかった。

これは、公共ラジオ局ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)とロバート・ウッド・ジョンソン財団、ハーバード大学T. H.チャン公衆衛生大学院が共同で実施、9月23日に発表した調査結果で明らかになった状況だ(調査は7月1日~8月3日、18歳以上の3454人を対象に、層化抽出法により実施)。

パンデミックの発生後、「世帯の成人のメンバーのうち、少なくとも1人が仕事の面で影響を受けた(失業または閉業した、一時帰休や減給、労働時間の短縮の対象となった)」と答えた人は約46%だった。

また、年収が10万ドル(約1055万円)未満の世帯は過半数(54%)、10万ドル以上の世帯は20%が、経済的に深刻な状況に直面しているという。

人種別にみると、経済的苦境に陥り、厳しい状況にある世帯は、ラテン系の72%、黒人の60%、先住民55%だった。一方、アジア系と白人の世帯では、37%、36%だった。

こうした状況について、ロバート・ウッド・ジョンソン財団のリチャード・ベッサー最高経営責任者(CEO)はABCニュースに対し、次のように述べている。

「(新型コロナウイルスによる)死者が20万人を超えるなか、この状況下で生きている人々が受ける経済的な影響を、無視することはできません」

「死者数はこのパンデミックが及ぼす影響の指標の一つにすぎません。パンデミックは社会に多大な影響を与えています。そしてその負担は、不平等にかかっています。感染者が最も多いグループが、経済的にも最も苦しんでいます」

9割が政府の支援を切望


調査はまた、重大な問題になりつつあるのが住宅だと指摘している。回答者のほぼ5人に1人が、家賃の支払いや住宅ローンの返済に苦労しているという。人種別にみると、家賃を滞納したり返済を延滞したりしている人の割合は、黒人とラテン系の世帯では白人世帯の2倍になっている。

ハーバード大学のデービッド・ウィリアムズ教授(社会・行動科学)によれば、富裕層の白人世帯が1ドルを持っているとすれば、黒人世帯とラテン系の世帯が持つのは、それぞれ10セント、12セントだという。

「ですから、パンデミックの状況下で彼ら(黒人やラテン系の世帯)が本当にひどく打撃を受けているというのは、驚きではないのです」

状況をさらに悪化させているのは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて連邦議会が3月にまとめた経済対策、コロナウイルス支援・救済・経済保障法(CARES法)に基づく「失業保険給付金への週600ドルの上乗せ」が、7月31日で終了したことだ。

議会はいまのところ、この支援策の延長も、代替となる救済パッケージも可決していない。英紙フィナンシャル・タイムズと米ピーター・G・ピーターソン財団が行った別の調査では、回答者の89%が「新たな経済支援策を実施すべきだ」と答えている。

編集=木内涼子

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