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海外では、業界最大手のアメリカのゲーム開発会社、エピックゲームスのティム・スウィーニー代表が「政治的発言を一切禁じない」と、昨年10月に自身のツイッターで発信し、話題となった。

ゲーム内で政治的発言に規制を設けないことは、多種多様な好みや志向、思想を受け入れることの延長線上で考え、語ることができるのではないだろうか。

「いまのゲーム利用者の46%は女性です。ゲームはもはや男性だけのための遊びではないんですよ。しかし一般社団法人コンピュータエンタテイメント協会によると、日本のゲーム開発者の87%が男性で、監督や経営陣のような立場においてはほとんどが男性です。そのギャップがいまだにビデオゲームの表現に偏りを生んでしまっているのではないかという懸念があり、ゲーム業界はここ数年で大きな意識改革を行っています」とJiniは解説する。

「ゲーム業界では、LGBTQの人たちや人種的にマイノリティーの人たちも心地よくゲームを楽しめるような、むしろその人たちを勇気付けるようなゲームを作りたいという思いがすごく強くなっています。そんな中、『政治的な発言を禁止することは絶対にない』とトップが明言したのは、意味があるのではないかと思います」

日本と海外の規約が異なることの意味


石破氏とバイデン氏
「あつ森」計画を断念した石破氏と、公式マイデザインをリリースしたバイデン氏。両者のゲーム活用の明暗を分けた背景は(Photo by Getty Images)

ともすれば、任天堂の規約について「政治的または宗教的な主張を含む行為」は禁止されている日本と、その制約がないアメリカの違いは、なぜ存在しているのだろうか。

Jiniは、「ゲームを利用した政治的主張があったかと言われればずっとあったが、その中で日米間に規約の違いが生じてくるのは、政治に対する日米ユーザーの関心の違い、もしくはゲームが政治に利用されてしまうことの日米任天堂の危機感の違いかもしれません」と推測する。

今回の石破氏の「あつ森」利用について、任天堂は独自の見解を発表していない。「発言すべき時は会社として公式の見解を出す」というこれまでの任天堂の姿勢を鑑みるに、沈黙を守っていることは、「それ自体が一種の意識表明なのではないか」との見方もできる。

つまり、石破氏のゲームの活用について、任天堂が自社の規約に抵触するものと判断したかはわからないが、少なくとも現状、直ちに辞めさせなければいけない程の問題性はない、という判断をしたと解釈できるのではないだろうか。

はっきりとした見解は発表されないものの、静かに日本のゲーム業界でもこうした意識改革が行われつつあるのかもしれない。ゲームと政治。もはや社会生活において切り離すことのできない両者の距離は、ゲームの進化を表すものではないだろうか。

文=河村優 編集=督あかり

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