相次ぐ著名人の自死 世界の若者が訴える「ヘルシー」なSNSの使い方

誹謗中傷が後を絶たない中で、若者自身がSNSとどう向き合ったら良いか考え始めている (Unsplash)


SNSの向き合い方、若者たちの意外な回答


日本でも著名人による新たな呼びかけに目を向けたい。

俳優の竹内涼真が今月15日に自身のツイッターで、SNSについて言及した投稿が話題となった。「もっとSNSをポジティブにやろう」というメッセージで、ソーシャルメディアの本来のあり方について多くの人に問いかけた。プロレスラーの木村花や俳優の三浦春馬の訃報以降、多くの著名人たちがSNSの使い方について発信し、これについてネット上で議論されている。


日本の若者たちも、日頃からSNSとの向き合い方について考えを巡らしているようだ。意外なことに、若者たちの意見の中には、システムやサービスの改善における指摘ではなく、どうSNSと付き合っていくかといったトピックが目立つ。

「無料のSNSに人間関係の質を求めない」や「SNS上で耳を傾ける人と、普段閲覧する幅を制限する」、「オフラインの人間関係と同じように、SNS上でもユーザーたちと付き合う」というように、ソーシャルメディアを使う際、どのように自分の環境を整えるかについて考えを深めているようだった。

これまで誰もが、知人やインフルエンサーの充実した投稿を通して、自分自身の生活を不満に思ったり、他人のライフイベントが羨ましくなるような気持ちになったことがあるだろう。海外でも「SNSはヘルシーではない」という意見がたくさんあった。

韓国でモデル活動をするオランダ人の女性も、一時韓国のソーシャルメディア中心の生活に疲れ切って、精神的に疲弊したそうだ。若者たちは、今後どのように向き合うと精神的にヘルシーにSNSを利用できるかを追求しているように思えた。

活字を「刃物」に変えない常識を


若者や著名人たちがSNSのあり方を訴える中、悲惨なコメントはいまだに絶えない。コロナウイルスが蔓延してから、日本ではウイルスに感染した患者の訃報だけでなく、自ら命を絶った著名人たちの訃報も多く報道されたが、一般人の中にも、ネット上のいじめにより、人知れずこの世を去った人もいるだろう。

SNS上では「芸能人も生身の人間だから」という言葉を時々目にするが、それ以前に全ての人の人権が当たり前のように尊重されるべきではないだろうか。メディアで脚光を浴びる立場の人に刃を向けることを問題視するだけではなく、有名人や一般人問わず、「世界中の人が平等であり、大切にすべきである」といった認識が乏しいという現実に、もっと目を向けなければならないように思う。

SNSは本来は便利で、コミュニティや世界観を無限大に広げるものだ。失ってしまった命を取り返すことはできないが、同じように苦しんでいる人に寄り添ったり、ネット上での人間関係やマナーを見直したり、被害者を増やさない努力をSNSのユーザーが一丸となってソーシャルネットワークをポジティブなものへと変えていくことを願ってやまない。


連載:グローバル女子大学院生が見る「世界の20代のトレンド」
過去記事はこちら>>

文=裵麗善/Ryoseon Bae

ForbesBrandVoice

人気記事