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実験の結果、待てた時間を「教師」と「同級生」に伝えると言われていた子どもたちのほうが、何の指示も与えられなかった子どもたちより長く待ったことがわかった。また、待てた時間を「教師」に伝えると言われた子どもたちは、「同級生」に伝えると言われた子どもたちと比べて、待った時間が2倍近かったという。

こうした結果についてヘイマンは、子どもたちは待つ長さを決める際に、「マシュマロの形をしたごほうび」だけではなく、自分の評価を上げるという「社会的な報酬」を得られる可能性を考慮して、「費用対効果」を分析していることが考えられると述べた。

この結果はさらに、他者に良い印象を与えたいという欲求が強いことと、そうした欲求はかなり幼い年齢から人の行動を左右している可能性があることを示唆していると言えるかもしれない。

ただし、「マシュマロ実験」とその結果が意味することをめぐっては、多くの議論が巻き起こってきたことを忘れてはならない。

たとえば、2018年に行われた研究から、後でより大きな満足を得るために欲求をおさえる子どもの忍耐力を左右するのは、自制心ではなく、子どもが置かれた社会的・経済的な環境であることが明らかになっている。

ほかの研究でも、マシュマロ実験で子どもたちがどの程度待てるかという点には、文化的な背景が関係している可能性があることがわかった。

ロチェスター大学の神経科学者セレステ・キッド(Celeste Kidd)は、ナショナル・パブリック・ラジオでこう述べている。

「たとえば、先が見えずとても不安定な環境で暮らしている子どもは、後でより大きな満足を得るために欲求を我慢する力をたとえ持っていたとしても、我慢したところで実際に報われる可能性は低いと考える可能性がある」

要するに、今回の研究結果については、さらに研究を進める必要があるということだ。今回のような結果になったのは、他者に好印象を与えるために今は我慢しようとする気持ちが実際にあったからなのか、それとも、環境や生い立ちによる影響にすぎないのかについて、見きわめる必要があるだろう。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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