サステナビリティでも「アマゾン追撃」鮮明な米ウォルマート

(Felipe Sanchez / Shutterstock.com)

米国の巨大企業はここ最近、気候変動の問題についての真剣な取り組みを相次いで発表している。アマゾンもウォルマートも、配送業務で使用する車両のグリーン化のためのプランを立ち上げている。

ウォルマートCEOのダグ・マクミロンは先日、ニューヨークで開催された気候週間の一環として最新の再生可能エネルギー戦略を発表した。ウォルマートは2035年までに再生可能な電力のみを使用し、2040年までに全世界の事業をゼロエミッション化すると述べている。

マクミロンは、ウォルマートが2040年までに長距離トラックを含む全車両を「電動化」すると宣言した。

同社のサステナビリティ担当のザック・フリーズによると、ウォルマートは最大規模のセミトラクターを6500台所有しているが、カナダでは2028年までにゼロ・エミッション化を実現するという。さらに、ウォルマートが買収したインドのEコマース企業「Flipcart」は、2030年までに全ての配送車両をEV化するという。

2014年にウォルマートはWAVE(Walmart Advanced Vehicle Experience)と呼ばれるハイブリッド・トラクターとトレーラーの組み合わせのコンセプトを披露していた。ピータービルト社との提携により設計されたWAVEは、当時ウォルマートが使用していたピータービルト社製の386型セミトラックよりも空力性能が20%向上していた。


「科学は明確で一貫している」とマクミロンCEOは声明で述べている。「化石燃料の燃焼は温暖化の主な原因であり、世界は再生可能エネルギーを積極的に受け入れなければならない。もはや、気候変動を遅らせるだけでは不十分であり、残されたものを守ることはできない」と彼は続けた。

フリーズは、今後数十年の間に進化するのは車のパワートレインだけではなく、顧客に商品を届ける方法もアップデートされると述べている。ウォルマートはドローンに加え、パートナーと協力してゼロエミッションに向けて必要なインフラの更新にも取り組んでいる。

一方で、アマゾンも今年6月に、2040年までに二酸化炭素の排出量をゼロにすると宣言したが、同社はウォルマートよりも早く、2025年までに再生可能エネルギーの使用率を100%にしようとしている。

アマゾンによると、同社は既に世界各地で91の再生可能エネルギープロジェクトを実施しており、毎年760万MWh以上の再生可能エネルギーを生産しているという。これは米国の68万世帯に電力を供給するのに十分な量だ。

アマゾンは2021年に導入する「Rivian」社製の10万台の電気自動車にも、これらのプロジェクトで生産した電力を使用する計画だ。

編集=上田裕資

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