Forbes流ビジネスアタイア Vol.2 ──モンブランで世界でひとつだけの万年筆をビスポークする

万年筆の最高峰と称されるモンブラン。筆記用具を超えた美しさと存在感で、世界のビジネスエリートの必携品となっている。

ビジネスパーソンの装いは、「ファッション」の単純なひと言のみで語られるべきものではない。この連載では、世界中の大企業社長から大統領や貴族までを取材してきた筆者が「ファッショナブル」「スタイリッシュ」「トレンディー」といった形容詞の陰でしばしばないがしろにされてきた基本のドレスコードを「ビジネスアタイア」として見直してみる。

鑑識眼に優れた相手からも、国際的なバックグラウンドを持つ相手からも「わきまえている」と評価されるような正しく装う術と、そこにある嗜みとしての喜びについても触れていきたい。

さて今回のテーマは、機能を持った実用品でありながら、時計やカフリンクス同様、男性に許された数少ない装身具としての側面も持つ「万年筆」の楽しみ方をご紹介しよう。


いまの時代にこそ、万年筆による手書きにこだわる


文字を介した人とのコミュニケーションにおいては、実生活ではほとんどがキーボードやタッチパネルでの入力という形に移行した今日、あえて万年筆による手書きにこだわる理由や意義があるとしたら、それは何であろうか?



前回、「ビジネススキルとしてのスーツスタイル」について語ったが、万年筆にも通底するものがある。こだわって選んだスーツの着こなし同様、まず持ち物として選び抜いた万年筆が相手に信頼を、自分に自信を与えるだけでなく、書く内容に加えて想いを込めて手書きした筆跡も、言葉以外のコミュニケーション手段になるという考え方だ。

結論から述べるが、もしもあなたが自社のアンバサダーかスポークスマンを自負する人間ならば、普通のボールペンではなく万年筆を選ぶべきだ。しなりのあるペン先は、毛筆同様に文字の細い/太いを書き分けられる。ボールペンで書いた文字とは違い、文字にしたためる内容に強弱の抑揚を付けられるからだ。音楽に喩えるなら、抑揚のない電子音と生のオーケストラの対比のようなもの。伝えられる熱量や叙情性が、まるで違ってくる。



万年筆の王様、モンブランが展開するビスポークとは


ビジネスエリートであれば、まさか人前に出る場面で使い捨てのプラスチックペンを使うことなどないであろう。TPNPO(Time:いつ/Place:どこで /Nationality:どんな国籍の/Person:誰と/Occasion:何をする目的で会うのか)に応じて使い分けるための複数のペンが必要なのは言うまでもないが、今回ご紹介したいのは、持つことによって、また字を書くことによってさらに個性を引き立ててくれる特別な万年筆だ。

その名は「モンブラン ビスポーク ニブ」。細やかなカウンセリングと先端技術を用いた計測、豊富なパーソナライゼーションメニューと卓越したクラフツマンシップによって手づくりされるのは、世界にひとつだけとなるあなただけのペン先(ニブ)。万年筆をビスポークするという、モンブラン独自のサービスである。


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文=大野重和(lefthands)写真=宮下 潤

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