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クリエイティブディレクター/コピーライター




20代の頃に編集者を志して以来、父から譲り受けたモンブランの「マイスターシュテュック146」(写真上)をはや25年も愛用し続けてきた筆者が訪ねたのは、モンブラン銀座本店。長く使うことで、ペン先を自分の書き癖に合わせて「育ててきた」経験があるからこそ、はじめから自分に合わせてビスポークする万年筆の書き心地がどんなものか、興味を持ったからだ。



ショップ2階にある専用カウンターで迎えてくれたのは、担当の鞘野光代さん。まずは筆者が普段使用している万年筆を吟味し、どんな用途で使っているかなどの話を聞かれる。病院での問診にも近いプロセスだ。



次に、サンプルとして用意されているさまざまな形状や太さのペン先で試し書きを行う。自分がこれまで愛用してきたペン先が細字用のF(Fine)であったことを知り、より抑揚を付けられ、サインなどの用途に適した太さとして勧められたM(Medium)やB(Broad)などを試す。その種類の多さと書き心地の違いに驚かされた。





今度は、モンブランが独自開発したというセンサー付きの万年筆を用いての試し書きを行う。専用のパッドの上で用紙に書いた筆跡は即座にパソコンのモニターに映し出され、そこから筆圧や筆記速度、ペン先の傾斜角度、回転角度、振幅角度の各要素が解析される。

筆圧や最大筆記速度などについても興味深く説明していただいたが、ほかにも耳慣れないペン先の「回転角度」の解析が「あなたの回転値は低く、マイナス10度〜プラス10度の範囲にあります。これは、安定した筆記位置を示していて、太字のペン先を使用するのに最適です」といった、まさに目からウロコな内容であるなど、自分の知らない自分の書き癖と、相性の良いペン先を知るうえで非常に役に立ち、かつ楽しい体験となった。



結果を鑑みれば、これまでよりも太めのペン先をオーダーしてみても良かったところであったが、取材先では未だに小さな手帳にメモを取ること、そして何より長年慣れ親しんできた太さであることもあって、筆者が選んだのはやはり細め/柔らかめのFタイプとなった。

ペン先はドイツ・ハンブルグの腕利きの職人によって仕上げられ、およそ2カ月ののちに完成して届くという。小さいながらも名前などのエングレーブ(刻印)もできるとあり、持ち主だけが知る秘密を隠した、まさに世界にひとつだけの万年筆となる。

このペン先を取り付ける万年筆本体は別売りとなるが、今度はそれを選ぶのも新たな楽しみというものだ。自身のアピアランスによってのみならず、使う万年筆と書く文字によってもアイデンティティを表明するという“大人”な嗜みに興味を覚えたら、ぜひあなたもモンブラン銀座本店のドアを叩いてみて欲しい。

問い合わせ先
モンブラン銀座本店 Tel. 03-5568-8881

文=大野重和(lefthands)写真=宮下 潤

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