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2020.09.24

混迷深まるTikTokの米国移転、「取締役に孫正義」説が一時浮上

孫正義が取締役は有り得るのか(Photo by Jabin Botsford/The Washington Post via Getty Images)

米国でTikTokを存続させるための争いは、非常に込み入った地政学的なバトルに発展したが、9月23日にはFoxビジネスのキャスターのマリア・バルティロモが、ソフトバンクの孫正義について言及したことで、さらに混乱が深まった。

バルティロモによると、オラクルのラリー・エリソンが彼女に、「TikTokの取締役に孫正義が就任する」と話したという。エリソンは以前、バルティロモが司会を務める番組にゲスト出演しており、23日の番組にも出演するはずだったが直前にキャンセルしていた。

エリソンは、今週初めにバルティロモに「TikTokの5人の取締役のうち4人は米国人になるが、残りの1人は日本人で、孫正義になる」と話したという。

しかし、この情報は誤りだと事情に詳しい関係者はフォーブスの取材に述べている。「ラリー・エリソンが一体なぜそのような話を持ち出したのか、あるいはマリアがなぜそう言うのか見当もつかないが、孫が取締役に就任することはありえない」と、その人物は述べている。

TikTok及びオラクルからはコメントを得られていない。ソフトバンクの広報担当はコメントを拒否した。

世界で大人気の動画アプリTikTokを、米国企業に売却するための交渉は混乱を極めており、TikTokの親会社のバイトダンスとオラクルの動きに注目が注がれている。トランプ大統領は8月に、中国政府がTikTokを用いて米国人を監視しているとの主張を開始し、9月15日までにバイトダンスがTikTokの支配権を米国企業に売却するよう迫っていた。

売却先の有力候補としては、マイクロソフトとオラクルが浮上したが、期限の2日前にマイクロソフトは、バイトダンスが同社の買収提案を断ったとの声明を発表した。

結果的にオラクルはマイクロソフトに勝利したものの、オラクルのTikTokとの「パートナーシップ」計画は完全な売却ではなく、トランプが定めた取引要件を満たしていないとの批判が出てきた。

そして、9月19日にはオラクルとウォルマートが共同で、TikTokの新たな親会社であるTikTok Globalの株式の20%を買収すると発表した。この取引には、オラクルがTikTokのクラウドプロバイダーとなる条項が設けられ、ホワイトハウスはこの契約を承認していた。

しかし、その2日後にはさらなる混乱が明るみに出た。バイトダンスは、TikTok Globalが同社の完全子会社であると言い始め、これに応戦する形で、オラクル幹部は「バイトダンスはTikTok Globalの支配権を持たない」と発言したのだ。

結局のところ、誰がTikTokを運営することになるのか、新会社の取締役に誰が就任するのかは、今だに決まっていない。

「今回の件に関しては、数多くのばかばかしい出来事が起きている」と、関係筋はフォーブスの取材に述べた。

編集=上田裕資

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