5. オンラインとオフラインの使い分け
ショッピングに関してZ世代は、「情報のインプットや検討はオンラインで、購入はオフラインで行う傾向」がある。
モノを買う場合、実際にオフラインの店舗に足を運んで買い物をしたいと考える割合が多い。実物を見たり、モノを購入するだけでなく、店舗の雰囲気や体験全てを包括的に経験した上で総合的に評価をする、ということだ。
日本でのわかりやすい例は、年始に原宿駅前にオープンした@cosme tokyoだろう。もともと@cosmeは、コスメや美容関連商品の口コミサイトとして知られていたが、オフラインのフラッグシップショップをオープンさせたことで話題になった。
また、 アメリカでも、Z世代をターゲットとしたブランドが、オフラインの店舗体験に重きを置いていることはみなさんもすでにご存知だろう。
Z世代を対象にしたIBMの調査を見てみる。いつもどの方法でモノを購入するか?という問いに対し、実店舗やウェブサイト上など、購入方法の頻度を回答してもらう質問だ。
この結果、ほとんどのモノを実店舗で購入するとの回答が67%だった。この数字は、購入チャネルとしてウェブサイトやアプリを最も使うと答えた割合の3〜5倍に相当する。(下インフォグラフ参照)
Z世代のモノ購入方法とその頻度に関する調査
オフラインとオンラインの「いいとこ取り」をして購買行動を起こすのがZ世代の特徴だと言えそうだ。
オンラインでは、SNSやブログ記事を通じて多くの口コミに出会い、商品の良し悪しを総合的に判断することができる。そしてそのインプットを踏まえ、実際に店舗に足を運び、自分の目で商品やその使用感を確認して、購入するかを決める傾向にあると分析できる。
また、動画コンテンツにおいて、面白いところは、開封の様子を載せるものが多く見られるということだ。
・開封体験、侮ることなかれ
たかが開封と思うかもしれないが、されど開封だ。実際、インスタグラム上では #Unboxing(開封)というハッシュタグのついたコンテンツが150万以上投稿されている。
また、開封の様子と共に商品を紹介する動画は非常に多く、公式チャンネルが発信しているものもあれば、一般ユーザーによる開封動画もある。
Z世代・ミレニアル世代を中心に人気を誇るコスメブランドGlossierのプロダクトの開封動画
開封体験そのものは、消費者全員・全世代を対象に考えられるべきものだが、SNSや動画のコンテンツになると、Z世代は見逃せないターゲットになる。
Z世代は、コンテンツの「正直さ」に信頼を寄せることは先述の通りだ。実際に手元に商品が届いてから、開封して使用するまでの一連の流れを見せてくれる開封コンテンツは、自分が購入した場合の状況が想像しやすく、購買体験をリアルに感じられる。
したがって、購買行動において包括的な体験を重視するZ世代たちにとってより有益なものに感じられるのではないだろうか。
商品だけでなく、開封からの一連の流れを購買行動として認識することはもちろん、それら全てがZ世代にはコンテンツ化されることも頭に置いて、ユーザー体験をデザインしていく必要がある。
ましてや、このコロナ禍だ。年代別の傾向などもはや関係なく、ECでの買い物率が跳ね上がっている。家にいながら価値を感じてもらえる購買行動のために、開封というフェーズも軽視してはならない。
最後に
これまで Z世代の特徴をマーケティング目線で解説してきた。章立てて説明はしているが、それぞれのポイントは密接に関わり合っており、総合的に捉えていただけると幸いだ。
テックネイティブという最大の特徴から、特にモバイルを中心とするデジタルデバイスを起点としたコミュニケーションが重要になる。Z世代は、物事をそもそもデジタルを前提で考えているため、もはや「重要」というよりも「必須」でデジタルの活用を考えていくべきだ。
その一方で、自分の目で確かめたい、自分が信用できるものを選びたいという思いから、オフラインの体験にも価値を感じているところが大きなポイントだと筆者は考えている。
「オンラインとオフラインのシームレスな体験をデザインする」ことがZ世代の心を掴むサービス設計・UX設計の鍵になると言える。
(この記事は、btraxのブログfreshtraxから転載・編集されたものです)