・ソーシャルコマースの兆し
その他、ソーシャルコマースの潮流がきている。インスタグラムに関しては、モバイルとデスクトップの利用率の比較では、ユーザーの98%はモバイルで利用している。
写真がメインのインスタグラムは、商品画像を載せ、キャプションにその説明を書くことができるため、オンラインショッピングのプラットフォームに向いている。
また、Z世代は、他の世代と比較して2〜3倍の割合でソーシャルメディアで買い物をしており、最も利用しているプラットフォームはインスタグラムで、41%はブランドのアカウントをフォローしているというデータもある。
モバイル上でのユーザーがほとんどを占める上に、とりわけZ世代にとっては、ショッピングプラットフォームとしても利用されるインスタグラムでの購買は今後ますます盛り上がっていくのではないかと考えている。
2015-2023年のグローバルリテール売上におけるECの割合。(shopify+より)
・リモートネイティブ
また、Z世代は、テック/デジタルネイティブもさることながら、リモートネイティブ世代だ。2020年現在、Z世代に当たる層は、高校生/大学生か、社会人1、2年目といったところ。
コロナウイルスの影響で、多くの学校や企業でリモート対応が始まり、彼らは、Zoomに代表されるオンラインコミュニケーションツールを駆使した会議や授業を余儀なくされ、適応をしてきたことだろう。
テックネイティブという基盤を持っているため、新しいツールへの適応に骨を折ることは少なかったと考えられる。
一方で、Z世代が求めるものは変わってきていると筆者は考えている。例えば、名刺交換のマナーよりも、オンラインミーティングで独特の間をうまく対処し、議論に入っていく方法や、オンラインを前提とした上司とのコミュニケーションの方法の方が知りたいと感じる。
作られたばかりのルールを新たな当たり前として生きていかなければならないため、先人からの教えが活かせることが少ない。
状況があまりにも大きく変わってしまったため、従来のルールでは通用しない局面にいる。その意味で、Z世代には先駆者的なアントレプレナーシップ的なマインドを持った行動をしていくことが求められていくのではないかと思う。
3. コンテンツの“超”大量消費
様々な記事でこの特徴を目にしたが、これはきっとZ世代ではない世代の方々が出した答えだと思った。なぜなら、筆者を含めZ世代張本人たちは、自分たちが膨大な量のコンテンツを消費している自覚すらないからである。
・集中力はたったの8秒?
1つのコンテンツに対する集中力が極端に短いことも特徴だ。平均して8秒ほどとされている。大量にコンテンツを見ているということは、1つのコンテンツに使う時間が短いとも言える。
また、大量にコンテンツを見ているからこそ審美眼が育っており、良し悪しの判断も速い。興味のないものにはすぐに拒否反応を起こし、広告を見抜くのは一瞬だ。
8秒間の勝負の鍵を握るのは、「Z世代の使う“言語”に合わせる」ことだ。GIFやミーム、絵文字と言ったビジュアルコミュニケーションを積極的に活用すると良い。
実際、Z世代を対象にしたある調査では、コロナ禍におけるフラストレーションの対処に、ミームなどユーモラスなコンテンツが一役買っていると回答した割合が72%という結果も出ている。
それだけミームはZ世代にとって身近なものであり、テキストだけでなく、ビジュアルも使った、流行りの共通言語や内輪ネタとうまく絡めたコンテンツも利用することは、彼らとの距離を近づける1つの方法だと思われる。企業としても、コンテンツ作りの際にはぜひ意識したいポイントだ。
4. 「ありのまま」「多道」の重視
他の世代と比較して、ダイバーシティーへの理解があるというのもまたZ世代の特徴だ。SNSがあって当然の世界で生きてきたZ世代は、学校教育やオフラインで出会う周りの人以上に「見知らぬ誰か」の発信を目にしている。
それだけ多種多様なコンテンツに出会う機会に恵まれており、その中で多様性に対する理解や知見が自然と育まれていったのではないかと思う。筆者も、学校教育以上に、普段視聴するコンテンツから多様性を学ぶ機会が多いように感じている。
・リアルな声こそ重宝される
また、「ありのまま」というキーワードから派生して、不完全さ、失敗、正直さへの共感もZ世代に刺さるコンテンツを作る鍵になるだろう。先述したように、Z世代はモバイル上で買い物をすることが多く、その際には、SNSやブログなどといったリアルな声を参考にしている。
ある統計では、Z世代は初めて購入するものに対しては第三者による口コミを確認してから購入の検討をすると回答した割合が86%、そしてそのうちの68%が、3つ以上の口コミを読み、熟考したのちに購買を決めるというデータが出ている。
口コミには赤裸々な感想が書かれているもの。ポジティブなものだけでなく、時にはネガティブな要素もある正直なメッセージこそ、Z世代にとっては信頼のおける価値ある情報となる。