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2020.10.10

Z世代の集中力「8秒」の意味は、コンテンツを見極める高速の審美眼

Z世代は「非」日常を求めてはいない / Photo by Bewakoof.com Official on Unsplash

Z世代(Gen Z)。ミレニアル世代と一括りで語られることも多いが、細かく見ていくと、その属性や世界観、考え方はミレニアル世代と大きく異なる。

この記事では、アメリカのデータを中心に、Z世代の特徴や消費動向、物事に対する姿勢など、その習性を紐解いていく。彼らをターゲットにしたサービス開発や、マーケティング戦略を考えている方の一助になれば幸いだ。

実は筆者も1997年生まれのZ世代。自分の肌で感じるものも織り交ぜながら書いていければと思う。

Z世代とは? ミレニアル世代とは似て非なる存在


諸説あるが、Z世代は1996年から2012年に生まれた世代を指す。一方のミレニアル世代は、1981年から1995年に生まれた世代である。Z世代は、9.11の同時多発テロや、リーマンショックなど、アメリカの歴史に残る大きな出来事を幼いながらに経験してきた世代だ。

また、2020年時点で「アメリカにおける総消費の40%以上をZ世代が占め」、さらには、金額にして1430億ドルもの購買力を持つというデータも存在する。これほど大きなボリュームの消費者層を取り逃すわけにはいかないことは自明だ。

では、ここからZ世代の特徴を購買行動などのマーケティングの視点から分析していく。

1. 堅実的かつ本質主義なリアリスト


まず特徴としてあるのが、リアリスト(現実主義者)だということ。これは、先述のリーマンショックからの大不況に起因しているという主張が一般的である。

この頃、Z世代本人たちはまだ幼く、直接その影響を受けているとは考えづらいが、彼らの親が苦労をした分、お金に関する知識やマナーが教えられている可能性は高そうだ。

Z世代やミレニアル世代は、消費において、体験に重きを置くというデータは随所で見られる。しかし、2世代間には違いが存在する。

ミレニアル世代がラグジュアリーな体験を求めるのに対し、Z世代が求めるのは、たまの非日常ではなく、日々の楽しみであり、日常的なポジティブな体験のようだ。瞬間的な刺激よりも、コツコツと毎日のQOL(生活の質)を上げることに興味を持つことからも、堅実さが窺える。

また、ブランドのネームバリューよりも、実際のプロダクトそのもののユニークさや質の良さを重視する傾向にあり、本質的な側面もある。

2. テックネイティブ・デジタルネイティブ


ミレニアル世代が、“Tech savvy (テクノロジーの精通者)”と表されるのに対し、Z世代は“Tech native (テックネイティブ)” と呼ばれることが多い。テクノロジー中心の世界が成熟していく過程を見て育ってきたのか、浸透しきった環境で生まれ育ってきたのかの違いだ。

Z世代は、新たなツールに対する抵抗感をほとんど抱いていないように感じる。というのも、生まれた時から携帯の存在は当たり前。“ガラケー”よりもむしろ、スマホを身近に感じる世代で、デジタルデバイスを始めとするツールに壁を作ることは少ない。

・モバイル前提
また、デジタルツールのなかでも「モバイルの利用」がZ世代の特徴だ。Z世代の98%がモバイルデバイスを所有しており、コミュニケーションはもちろん、買い物もコンテンツ視聴もモバイルで行う割合が高い。

オンラインの利用状況
Z世代のオンラインアクティビティ時の媒体別使用率:SNSの利用、ビデオクリップの閲覧、Amazonなどのオンラインストアのアクセスなどで90%以上の利用率となっている。

この最たる例が、モバイルファーストを主戦略とするTikTokだろう。次のコンテンツを見る際は、モバイルならではの「スワイプ」をしていく仕様で、そのUXもモバイルを念頭に設計されている。そんなTikTokは、アメリカにおける全ユーザーのうち、60%がZ世代だ。
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文=Aoi Omori(btrax)

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