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2020.09.24 06:30

モバイル特化の動画ストリーミングQuibiが苦戦、身売り検討説も

ジェフリー・カッツェンバーグ(左)とメグ・ホイットマン(右)(Photo by Matt Winkelmeyer/Getty Images)

ジェフリー・カッツェンバーグ(左)とメグ・ホイットマン(右)(Photo by Matt Winkelmeyer/Getty Images)

今年4月に始動した動画ストリーミングサイトの「Quibi」が、事業の売却を含む戦略的なオプションを検討しているとのニュースが、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によって報じられた。

情報筋によると、Quibiはアドバイザーと協力して、様々なオプションを検討しており、新規の資金調達や、SPAC(特別買収目的会社)との合併による上場も選択肢に含まれているという。

映画プロデューサーのジェフリー・カッツェンバーグと、イーベイやヒューレット・パッカードのCEOを務めたメグ・ホイットマンらは、4月のQuibiのサービス開始前に17億5000万ドル(約1840億円)を調達していた。

カッツェンバーグとホイットマンは当初、Quibiが外出先の人々を主要顧客とすると宣伝していたが、パンデミックのために自宅にこもる人々が増えた結果、ネットフリックスやHulu、Disney+などのサービスとの競争に直面している。

WSJが入手した書類によると、Quibiは最初の1年で月4.99ドルを支払う会員を少なくとも700万人以上集め、3年間で1600万人以上に伸ばす予定だったが、匿名の情報筋によると目標を大幅に下回っているという。

Quibiは加入者数についてはコメントしていないが、7月に広報担当者がThe Vergeに語ったところによると、560万人以上がアプリをダウンロードし、ローンチ時に90日間の無料トライアル、5月と6月に2週間の無料トライアルを提供した結果、「優れたコンバージョン」が得られたという。

Quibiは、フォーブスからのコメント要請に応じていないが、カッツェンバーグとホイットマンは声明で、「顧客に最大の体験を、株主に最大の価値を、従業員に最大の機会を提供しつつ事業を継続する」と述べている。

Quibiは他にも、役員レベルの離職や、インタラクティブビデオ企業Ekoからの特許侵害訴訟などのトラブルを抱えている。

「ハリウッドスタイルの動画を10分以内の“bite-sized”(一口サイズ)のフォーマットで提供する」というコンセプトで始動したQuibiのコンテンツは、モバイルでの視聴に最適化されており、タテ方向でもヨコ方向でもフルスクリーンで再生できる。動画は全て撮り下ろしで、制作スタッフや出演者には、エンタメ業界のトップスターが名を連ねている。

出演者にはジェニファー・ロペスやリース・ウィザースプーン、レブロン・ジェームズなどのセレブが勢ぞろいし、監督にはスティーブン・スピルバーグやギレルモ・デル・トロ、アントワーン・フークアといった大物を起用している。

パンデミックによって人々が自宅にこもる状況下で、モバイル動画の需要は高まるのか、という疑問も生じたが、ホイットマンは「自宅で過ごす人々も、隙間時間をモバイルのコンテンツ消費に費やしている」と述べていた。

編集=上田裕資

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