パンデミック前から資金難だった黒人事業主
JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase)が実施した調査によると、黒人が経営するビジネスは、パンデミック前からすでに資金繰りが苦しい状態だったが、一部のビジネスはパンデミック以降にきわめて大きな苦境に直面している。不運にも、黒人が大半を占めるコミュニティで営業している黒人経営ビジネスの90%以上は、手元資金がごくわずかで、その額は2週間分の運転資金にも満たない。客が外出を控えれば、高い確率で資金が枯渇してしまうのだ。
黒人経営ビジネスは何世代にもわたり、公民権と経済発展の両面で、黒人コミュニティに貢献してきた。2007年以降、アフリカ系女性が経営する企業の数は164%増加し、白人女性が経営する企業の増加率をはるかにしのいでいる。2018年実施の調査でも、2017年から2018年にかけて黒人が経営するビジネスの数が400%増えたことがわかっている。その結果、コミュニティ内での消費が促されるという効果も得られた。
現状
専門家の多くは、黒人事業主と大手銀行の関係が、パンデミックのあいだに全米各地での黒人経営ビジネス閉業を加速化させたと感じている。連邦準備銀行の直近のデータでは、黒人事業主が融資を断られる確率は白人事業主と比べて2倍であることが明らかになった。
金融や経済の不公正問題を研究する政策グループ「センター・オブ・レスポンシブル・レンディング(Center For Responsible Lending)」は4月はじめの時点で、PPPが現在のような問題を抱えることを予測していた。黒人が経営するビジネスの約95%、ラテンアメリカ系が経営するビジネスの約91%は、主力銀行や信用組合を通じたPPPの融資を受けられる見込みはほぼないとしていたのだ。
一方、米国の実業界は、黒人コミュニティへの支援を率先して行っている。ペイパル(PayPal)、ペプシコ(PepsiCo)、フェイスブックなどの企業はそれぞれ、5億3000万ドル、4億ドル、1億ドルを投じて、黒人経営ビジネス支援などを行うと約束している。
希望を捨てず、選挙で適切な票を投じれば、やがては救済策が導入され、助けをもっとも必要としている事業主に対して、より直接的な支援が行われるようになるかもしれない。