ビジネス

2020.10.05

アマゾンがグーグル超え、ウーバーも絶好調 今「モノの移動」で何が起きている?

提携、垂直統合。運ぶ概念が変わる時代、勝利は誰の手に?


加えて、GoogleはWalmartと組んで、Walmartのサイトでモノを購入した人を店舗まで無料で送迎する実証実験を展開 [1] していることにも言及し、「このモデルは、モノの需要がある際に、ヒトを移動させる考え方である。人が動きにくくなった今だからこそ、ヒトを移動させる価値が更に高まる可能性がある」とする。Amazonに次いで、Walmartが配送料を実質無料にする有料会員制プログラムを提供開始したことにも言及し、「モノとヒトの移動需要を把握しているプレーヤーが広告や他のサービス提供を組み合わせ、移動を実質的に無料で提供するモデルが主流になる可能性がある」とする。[1]Googleは広告モデルによりユーザーを広告主の場所まで無料で移動させるビジネスモデルについて特許を取得している

Amazonとグーグルのシェア逆転
商品関連の検索において、AmazonはGoogleを超えた。出典:searchenginewatch.comより

モノの移動にまつわるビジネス


木村氏は、「今後は、モノの移動需要に関する周辺分野でのビジネスも盛んになる」という。代表例として、複数のオーナーがスペースを共有しいくつかの厨房を集中させ、間接費を徹底的に削減するクラウドキッチンを挙げる。クラウドキッチンの参加する企業の中には、店舗を全く持たずに運営するゴーストキッチンと呼ばれる業態も出てきている。米国カリフォルニアでは、Uberの創業者兼元CEOが出資者に名を連ねるCloud Kitchensや、Kitchen United、Fulton Kitchensが代表例として挙げられる。

さらに同氏は、「オーナーに厨房を貸すクラウドキッチンのような、余分な資産を持たない配送ニーズへの対応に特化したビジネスモデルには大きなヒントがある。従来とは全く違うコスト構造での事業運営が可能で、実店舗を持つ企業より優位なコスト構造をもち、場合によってはオンラインの運送費を無料にしても十分な利益を確保できる」と、注目の理由を語る。他業界の例としては、実際の薬局を持たずに処方薬の手配や服薬指導を行い、コロナ環境下の資金調達でユニコーンとなったAlto Pharmacyなどのオンライン薬局が挙げられるという。

以上のような業態では、オンライン需要獲得、提供物(フードや薬)の準備、配送を行う必要があるが、例えば配送部分はUberが担うなど、それぞれの機能も分野に特化した別々の企業がバリューチェーンを分担する事例も出てきているという。

モノの移動の周辺分野での新ビジネスが今後も増加しそうである。


出典:cloudkitchens.comより

連載:イノベーション・エコシステムの内側
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文=森若 幸次郎 / John Kojiro Moriwaka

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