米国は全世界で、ほかにも複数の紛争に関与しているが、部隊を派遣する以外の、間接的な手段をとっているケースもある。その一例がイエメンだ。同国では、サウジアラビア主導の軍事干渉により、米国の武器輸出額が跳ね上がっている。さらに、米国製のドローンが特定の人物を標的にした暗殺計画を実行してきた。また、米軍の特殊部隊がイエメンのテロ拠点に急襲作戦を展開した事例もある。今回の調査では、同国で発生した避難民は440万人に達したと推計されている。
フィリピンでは、南部のミンダナオ島でイスラム系反政府勢力との戦いに政府が苦慮するなか、米軍の特殊部隊がフィリピン軍の支援のために駐留してきた。こうしたミンダナオ島の紛争によって、少なくとも現時点で170万人が故郷を追われ、そのすべてが国内避難民となっている。
報告書では、こうした数字について理解する視点の1つとして、3700万人という(控えめな)難民推計値について、カリフォルニア州の住民すべて、あるいはテキサスとバージニア両州の住民を合わせた数に相当する人数が故郷を追われたと解説している。さらに、歴史的に見るとこの数は、第二次世界大戦を除く20世紀以降のいかなる戦争や自然災害で発生した難民の数をも上回っている。
2001年9月の同時多発テロ以降、米国の対テロ戦争により発生した避難民の数(国別の推計値)