ジャーナル「Frontiers in Public Health」に先ごろ掲載された論文によれば、特定の地域での流行(エンデミック)を繰り返している複数の呼吸器ウイルスについて調査した結果、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)も今後、インフルエンザのような季節性のウイルスになる可能性があるという。
だが、問題はそう単純なものではないだろう。流行に季節性があるコロナウイルスは少なくとも4種類が確認されているが、季節性があるものとそうでないものがある理由は、今のところ明らかになっていない。
ウイルス学が専門のインペリアル・カレッジ・ロンドンのマイク・スキナー医師は、特に冬に流行するかどうかは、そのウイルスの感染経路や、ウイルスそのものが環境ストレス(気温、湿度、紫外線など)にどれだけの耐性を持っているかに関連があると指摘する。
また、流行には人間の行動パターンも大きく影響しているという。私たちが冬には密集して過ごす傾向があること、暖房を使うことにより、自宅や職場の室内の湿度が高くなることにも関係があるということだ。
つまり、ウイルスが社会的行動と気温のどちらにより大きく影響を受けているのか、判断するのは難しいということだ。COVID-19には、双方が同じ程度に影響を及ぼしていると考えることもできる。
いつまで「新型」でいる?
新たに発表された論文は、過去にエンデミックを起こしてきた呼吸器ウイルスについて分析した結果から、COVID-19も季節性を持つものになるとの仮説を立てている。
「SARS-CoV-2のパンデミックは熱帯地域でも発生している一方、冬だった温帯地域の方が、ウイルスの活動は活発だった。これは、気温が低く乾燥した状態の方が、感染が広がりやすいことを示唆している」
だが、COVID-19に関するこれ以前の研究では、気温は感染拡大にほとんど無関係との見方が示されていた。たとえば、「カナディアン・メディカル・アソシエーション・ジャーナル(cmaj)」に発表された論文には、次のように記されている。