美食と自然の国。日本が持つ「ハイエンドな旅先」としてのポテンシャル

Teshima Art Museum、Photo:Ken'ichi Suzuki

旅行業界や様々な接客サービスは今、新型コロナウイルスの感染状況の変化に伴う集客の大きなアップダウンや、団体客から個人客対応へのシフト、国内マーケットの拡大など、未曾有のパラダイムシフトを迫られています。

そのような中、ポストコロナに真っ先に旅を再開するとみられる世界のハイエンドトラベラーの旅先として、日本が候補に挙がっているのです。

ニューノーマルの中で、ハイエンドトラベラーは日本を旅する


ハイエンドトラベラーの多くは、プライベートジェットやスーパーヨットで世界に動いていきます。オーナーはジェットで旅先に飛び、スーパーヨットが到着国で待ち受け、国内では主にヨットの中に内蔵されたヘリコプターで移動するといった遊び方をしています。

世界のトップは、成功するとたいていスーパーヨットを持ち、主に地中海やカリブ海に浮かべておきます。旅以外にも会食やパーティーなどに使われ、世界の王室、富豪の社交の場、接待の場ともなっています。日本は海に囲まれているにもかかわらず、こうした文化が発展していない珍しい国ですが、所有者は少しずつ増えているそうです。


Oceanco製のスーパーヨット”Tuhura" 写真提供(www.oceancoyacht.com)

逗子や三浦でマリーナを経営するリビエラによると、スーパーヨット一隻が年平均で5.09億円の経済効果を上げています。隻数は年々増加傾向にあり、2007年の4400隻から2018年には9395隻と倍以上に増えている急成長のマーケットです。オーストラリアなどは積極的にスーパーヨットを受け入れ、年間1600億円を稼いでいます。

日本を訪れる数は年間10〜20隻程度ですが、ラグビーのワールドカップをきっかけにヨーロッパで実績のあるヨットが日本に向かい始め、今年予定されていたオリンピックには、横浜港だけでも40数隻の予約が入っていました。

ハイエンドトラベラーの多くは2、3週間滞在し、一回の滞在で4500万円を消費したケースもあります。およそ1カ月かけて出入国を50数回も繰り返してスーパーヨットで日本中を回ったロシア人投資家もいれば、「子供がおいしいラーメンを食べたいといっているから」とジェットでふらりと訪日し、ついでに数千万円のアート作品を買って帰る香港の若手富裕層など、目的も旅程も様々です。

共通しているのは、自身が価値があると認めるモノやコトにはお金に糸目をつけないこと。そして独自のこだわりを持っていることです。そんな彼らがポストコロナに旅したい国、それが日本だと、海外のトラベル専門家たちから聞こえてきています。
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文=山田 理絵

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