チャーミングケアで広げる家族の視点

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コロナ禍の自粛生活によって、経済面や精神面などに負荷がかかり、救済を求めるさまざまな「声」が報道されている。

多くの人たちにとって、「自粛生活」は初めての経験だったかもしれない。しかし、私はこれまで同じような1年以上の自粛生活を経験している。それは子どもの入院付き添いだ。

2016年5月、それは突然にやってきた。「急性リンパ性小児白血病」、小学2年生の長男に告げられた病名だった。幸いにして息子は回復し、いまは小学校最後の年を、かつて一度体験したことのある自粛生活で迎えている。

小学6年生になった彼が、今回の自粛中に、「コロナ、コロナっていうけど、治療中、俺らもっと自粛生活みたいなこと長く続けていたよな。全員が自粛ってなると、こうやってニュースになるんやな」と言っていたのがとても印象的だった。

コロナ禍で「親子分離」の状態が加速


小児白血病を含む小児がんの年間の発症数は2000人から2500人と言われている。抗がん剤治療や移植など、長期の治療が必要なため、1年以上の入院生活を余儀なくされる。

子どもが乳幼児であったり、医療機関の方針によっては24時間の付き添いが必要になったりする場合や、はたまた親の希望で付き添いをする場合もある。

私たち親子が1年のほとんどを病院で過ごした2016年頃の時点では、付き添いをするかしないかという選択肢は親側にあるのではなく、どちらかというと医療機関側の付き添い要請に則って親側が段取りをするという傾向が強かった。

ここ数年は、子どもの入院に付き添う家族の実情が報道され、いままでなかなか表に出てこなかった声が外に向かって発信されるようになったこともあり、付き添いに関する選択肢は一方向だけでなくなりつつある印象があった。

しかし、このコロナ禍で、また少し状況が変わった。感染対策のために、面会制限や付き添い制限が全国の病院で行われたのだ。

緊急事態宣言下にあった今年5月、日本経済新聞が全国の主要な小児病棟にアンケート調査を実施したところ、面会制限を行なった小児病棟は実に9割以上にのぼったという(6月9日付朝刊)。

では、具体的にどのような制限がかかり、付き添いをしている家族の生活はどのように変わったのか。自身も長期付き添い入院の経験者で、現在は付き添い家族に向けて食事を中心とした生活支援を行なっているNPO法人キープ・ママ・スマイリング理事長の光原ゆきさんに話を聞いた。

「新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、私たちの活動を通して、入院中のお子さんに付き添う家族の方からはさまざまな不安や困りごとの声が聞こえてきました。とはいえ、病院ごとに付き添い者への対応やルールは異なり、その実情を正確に把握することができませんでした」

文=石嶋瑞穂

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