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2020.09.25

ファッション業界のイノベーターたちが語る ものづくりの継承、そして改革

ファクトリエ代表・山田敏夫(左)と佐藤繊維代表取締役・佐藤正樹(右)

日本の良質なものづくりを世界へ──原点回帰と革新性で、ファッションに新風を起こす2人のイノベーターが、事業承継のサポートに力を入れるエヌエヌ生命保険のファシリテーションで語り合った。


山形県寒河江市に本社と工場を置く、紡績・ニット業の佐藤繊維の4代目佐藤正樹と、創業100年の老舗洋品店の息子で、メイドインジャパンの工場直結ファッションブランド「ファクトリエ」の山田敏夫。製造と販売というジャンルは違えど、ファッションに携わる親の背中を見て育った2人は、家業をどうとらえているのか。

オバマ大統領の就任式、そしてノーベル賞授賞式で、ミシェル夫人が着ていた老舗ブランドのニットが山形にある工場のモヘア糸だったことにより、一気に注目を浴びた佐藤繊維。独自性の高い糸は世界中のハイブランドで採用されるほか、オリジナルブランドも展開している。佐藤は世界各地のヤギや羊の生息地を訪ね、個性的で高品質の糸を次々とつくり出して注目を浴びている。

山田は「ファクトリエ」で「日本の工場から、世界一流のブランドをつくる」というビジョンに基づき、山田自らが直接足を運んで厳選した工場と顧客とを直接つなぐ。世界に誇る技術を持った工場を前面に出し、そのストーリーとともに工場希望価格で販売している。

2人は日本のものづくりを元気にし、ものづくりから世界一流ブランドをつくることについて、互いの考え方を語り合った。

職人の一言が人生の転機に


山田敏夫(以下、山田):佐藤さんは何がきっかけで家業が好きになりましたか?



佐藤正樹(以下、佐藤):31歳のときに視察でイタリアの紡績工場に行ったことがきっかけです。自社にもある機械をすべて改造して、常識にはない全く違うものをつくり出している。そのときショックを受けましたね。それまでの私たちは、言われたものをつくるのが仕事でしたから。彼らは自分でつくったものを「俺たちがファッションをつくっている」という自負を持って世界の市場に出している。これをされたら私たちは勝てない。ものづくりの発想が大きく変わった瞬間でした。

山田:「人が幸せになるには人生をかけて没頭すること。没頭するには好きになること」とよく言われますが、好きになるものは30歳を超えても見つけられるということですね。31歳はサラリーマンで10年目ぐらい。そこからでも好きなことを見つけられる可能性があり、幸せな人生を送れるかもしれない。

佐藤:講演では「テクニカルなことよりも、好きなことを見つけられた人間が幸せなんだ」という話をします。自分のものづくりや、やりたいことを、情熱をもって進めば新しい事業がいくらでも生まれるんです。

山田:家業を継いだ人のなかには、やらされている、不幸と思いながら佐藤さんと同じ年齢まで続ける人もいる。佐藤さんは31歳から楽しく人生を過ごされている。

佐藤:やりたいことが多くて借金もどんどん増えていますけどね(笑)。ものづくりがどんどん失われているいま、なぜそこにこだわるかというと、シンプルにものづくりが好きで守りたいから。そしてしっかりとしたビジネスにすれば最終的に優れたものがつくれる。それが私の信念です。できない理由は山のようにある。でもやるにはどうしたらいいのかを苦労して考えると、いろいろな方法が生まれてくるものです。

次世代に継がせたいのは「ワクワク感」


山田:根本は「これが好きか」、ですね。義務と思うと継続しません。

佐藤:実は私の息子が将来継ぐために会社に入ることになったのですが、私がいろいろなことをやっているのでおそらく大変でしょう。全部継がなくちゃいけないとなると、彼の可能性をつぶしてしまうので、仕事として引き継ぎつつ、守るべきもの、なくしては困るものを大事にしてもらえればいい。それはものづくりの技術と環境です。技術を守りさえすれば、あとは彼のやりたいものに挑戦してほしいですね。



山田:息子さんが、もし継ぐ気がなかったら継げと言いましたか?

佐藤:絶対に継がせたかったので誘導していましたね。私自身が好きになってからは面白いと思っているので、息子には面白い話だけをしています。親が「お前、好きなことやっていいよ」って言ったら継がないですよ。世の中には情報がたくさんあって、稼げる仕事を探せばたくさんある。そのなかで、自分のやるべき仕事をやり、その道に特化すれば新しいビジネスを考えられる。そういう選択肢を与えるのも親の仕事だと思いますね。

山田:家業を使命感でいくのかワクワク感でいくのか。使命感だと重いけれど、ワクワクなら、その人の好きとつながります。

佐藤:面白いと思うとのめり込む。奥の深さがわかると面白くなってくるんですよ。

山田:次世代が「めっちゃ楽しい」と思ったら勝ちですね。

佐藤:農業も同じで世界が成長するなかで誰が日本の食べ物をつくってくれるのか。国内でつくってそれをダイレクトに販売するというとき、技術者などものをつくる昔からの産業の人たちが見直されてきちんと対価をもらえる時代をつくらなくちゃいけない。だから家業が多い、ものづくりの人たちはまだまだ増えていく。これからだと思いますよ。

山田:20歳でフランスに留学したとき、勤めていたグッチの同僚に「日本のものづくりは素晴らしいのに、なぜものづくりのブランドは日本にないのか?」と聞かれたのをきっかけに、佐藤さんのような、ものづくりの人たちが世界に出るお手伝いをしたいと思ったのが、「ファクトリエ」を作る原動力となりました。だから僕は「ファクトリエ」をメジャーにすること以上に、つくり手、クラフトマンシップで服を選ぶ文化を育てたい。そしてわくわくする、面白いことを見つけることが、ものづくりを継ぐうえで大切なことなのかもしれませんね。


佐藤正樹◎糸作家・M.&KYOKOディレクター。1932年創業の紡績・ニットメーカー、佐藤繊維の4代目代表取締役。文化服装学院卒業後、アパレルメーカー勤務を経て1992年に帰郷し佐藤繊維に入社。2005年に家業の繊維会社を継ぐ。

山田敏夫◎ファクトリエ代表。創業100年の老舗婦人服店の次男として育つ。大学在学中、フランスへ留学しグッチ・パリ店で勤務。2012年1月、工場直結ジャパンブランド「ファクトリエ」を展開するライフスタイルアクセント


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イベントで行われたアイデアソンの様子

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