史上初の身代金ウイルス攻撃による死者、ドイツの病院で発生

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企業や組織がランサムウェア(身代金ウイルス)攻撃の標的になった場合、身代金の支払いやシステムの復旧に高額なコスト負担が生じる可能性がある。しかし、先日はそのような攻撃の一つが金銭的ダメージを与えただけでなく、結果的に尊い命を奪ったケースが報告された。

セキュリティ関連のサイトDatabreaches.netによると、ドイツのデュッセルドルフの大学病院がサイバー攻撃の標的となり、病院の医療システムにランサムウェアが仕込まれたという。

その結果、病院のシステムに関わるソフトウェアが暗号化され、全てのITネットワークが麻痺したという。ドイツの警察は犯人にコンタクトをとり、暗号化されたファイルは復旧したというが、暗号の解除キーが送られる前に悲劇が発生してしまった。

攻撃を受けて以降、病院は全ての手術を中止し、救急患者の受け入れも停止したという。しかし、ある重篤な症状を患った患者が救急車で運び込まれ、別の病院に搬送される途中に、不幸にも息を引き取ったという。

今回の件は、ランサムウェアが人間の死をもたらした史上初のケースとして記録されることになりそうだ。サイバーセキュリティの専門家が以前から警告していた、非常に恐ろしいケースが実際に起きてしまった。

この事件が発生する約1カ月前には、少なくとも1名のサイバー犯罪者が医療機関をターゲットとした攻撃はやめると宣言していたが、不運にも犠牲者が発生してしまった。捜査当局によると今回の攻撃の主要なターゲットは大学であり、病院ではなかった模様だ。

しかし、今回のケースではまだ未解決の課題も残されている。犯人らは病院の入院患者のデータも運び出したと主張し、新たな恐喝行為を行おうとしている。病院は現在、捜査当局と連携をとりつつ、どのような対応を行うべきかを検討中という。

編集=上田裕資

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