国、企業やブランドの大小を問わず、世界全体が同じ課題に直面し、ニューノーマル時代に適応せざるを得ないという状況下、成長過程にあるアフリカンファッション業界にとっては、ある意味チャンスとも言える。今回は、その最新動向のいくつかの事例について取り上げる。
イー・コマースの促進なるか
フィジカル・ディスタンスが普及するなか、アフリカンファッション業界のデジタル化・オンライン化が進んでいる。
5月には、インダストリー・アフリカ(Industrie Africa、以下『IA』)が、アフリカ系デザイナー専門のオンライン・ブティックをローンチ。IAは、2018年に、アフリカ系デザイナーのデジタル・ショールームというB2B向けビジネスモデルで、2人の女性起業家が開始したが、最近、戦略転換を図ったようだ。
現在は、そのうちの1人、インド系タンザニア人起業家、ニーシャ・カナバー(Nisha Kanabar)が、創業者として名を掲げる。
カナバーは、ニューヨークにあるファッションスクールの名門、パーソンズ・スクール・オブ・デザインを卒業後、ラグジュアリー・ファッションと出版業界でキャリアを積んだ人物。アメリカ、インド版『ヴォーグ』での経験を経て、現在はタンザニアの首都ダルエスサラームを拠点に、各地に赴き、アフリカファッション業界の構築・振興を目指す。
また、IAのアドバイザリー・ボードには、業界の主要人物が名を連ねる。
ラゴス・ファッション・ウィークの創設者オモイェミ・アケレレ(Omoyemi Akerele)、ナイロビのクリエイター・コレクティブの創業メンバーであり、グローバルに活動の幅を広げるアフリカ・ファッション業界の重要人物であるサニー・ドラット(Sunny Dolat)、ガーナでファンドを起業し、アフリカのクリエイティブ業界のための1億ユーロ規模のファンドの創設・運営も手がけるロベルタ・アナン(Roberta Annan)を含む、6名が参画している。
IAのオンライン・ブティックには、カナバーがキュレーションした、アフリカ14カ国、30ブランド商品が並ぶ。ナイジェリア、ケニア、南アフリカ、ガーナといった主要国のブランドに限らず、モザンビークのタイボ・バカール(Taibo Bacar)や、コンゴ民主共和国のKahindo(カヒンド)といったブランドも扱っている。