水道設備会社が開発した、ディナーに行ける「スーツに見える作業着」

ワークウェアスーツ


森岡:もはやクールビズは当たり前。スニーカー通勤まで推奨されるような時代です。こうしたカジュアル化の時代には、私は着るアイテムも状況に合わせて替えるべきだとずっと言ってきました。スニーカーを履くならばこういうスーツにすべきなのです。

小暮:コロナ禍の影響で、リモートで仕事をされている方も多い。在宅ではリラックスできる服装が当たり前です。しかしオンラインで会議を行うときには相手に自分の姿が見えてしまいます。そんなときTシャツ一枚では心許ない。こんなジャケットがあれば、さっと羽織れて、瞬時にビジネススタイルに変身できる。

森岡:スーツに求められる要素、条件も時代とともに変化している。コロナ禍でそれが加速化されました。

小暮:このスーツは法人向けにも販売され、500社を超える企業に採用されたそうです。

森岡:それはすごい。このスーツのデザインと機能性が、現代のスーツ=仕事着に向いていると証明されたようなものでしょう。

小暮:WWSをつくったオアシスライフスタイルグループは、もとは水道設備会社ですが、最近ではタピオカミルクティー発祥の「春水堂」の日本展開を大成功させています。こうしたベンチャー精神をもった会社だからスーツに対して革新的なアプローチができたのでしょう。

森岡:従来のスーツメーカーの発想ではここまで振り切れない。スーツをずっと扱ってきた私でもこれは面白いと思います。

小暮:昨年は伊勢丹百貨店でも販売されて好評を得たと聞きました。417エディフィスやアバハウスなどのセレクトショップでも扱われ、コラボレーションした製品をつくるまでに発展しています。

森岡:それはファッションブランド、ショップから見ても、興味深く、店頭に揃えておくべきものだと認められたということです。

小暮:パラダイムシフトが求められるポストコロナ時代に相応しい作業着=スーツと言えそうですね。


森岡弘◎『メンズクラブ』にてファッションエディターの修業を積んだ後、1996年に独立。株式会社グローブを設立し、広告、雑誌、タレント、文化人、政治家、実業家などのスタイリングを行う。ファッションを中心に活躍の場を広げ、現在に至る。

小暮昌弘◎1957年生まれ。埼玉県出身。法政大学卒業。82年、株式会社婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社。83年から『メンズクラブ』編集部へ。2006年から07年まで『メンズクラブ』編集長。09年よりフリーランスの編集者に。

photograph by Masahiro Okamura | text by Masahiro Kogure fashion direction by Hiroshi Morioka | illustration by Bernd Schifferdecker edit by Akio Takashiro

この記事は 「Forbes JAPAN Forbes JAPAN 8月・9月合併号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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