50代になってもBTSは不滅だ! ビッグ・ヒットCEOのK-POP世界戦略

2013年にデビューした、7人からなる韓国の男性ヒップホップグループ「BTS」

パンデミックはK-POPグループ「BTS」の快進撃に水を差したかもしれない。それでも、彼らが所属するビッグ・ヒット社CEOは自信を見せる。その理由とは。


韓国の首都ソウルを拠点にする芸能事務所「ビッグ・ヒット・エンターテインメント(以下、ビッグ・ヒット)」にとって、2020年は素晴らしい年になるはずだった。昨年は、記録的なアルバムの売り上げと純利益を達成し、IPO(新規株式公開)も視野に入るなど、過去最高の年だったからだ。ところが急転、新型コロナウイルス・パンデミックが世界を席巻すると、同社は最大の試練を迎えることになってしまった。

ビッグ・ヒットの台頭は、同社に所属する人気K-POPグループ「BTS」の成功によるところが大きい。この7人組は19年、米音楽チャート「Billboard 200」で計3枚もナンバーワンを達成している。これは四半世紀ぶりの快挙である。同年7月には、BTSはフォーブスの「セレブリティ100ランキング」にアジアで最も稼いだバンドとして選出されている(世界では第3位)。同年10月まで8カ月間にわたって開催された「LOVE YOURSELF」ワールドツアーは、1億96000万ドルも売り上げた。

ビッグ・ヒットの爆発的成長


BTSの世界的人気を追い風に、2016年以降、ビッグ・ヒット・エンターテインメントは急激に売り上げを伸ばしている。BTSへの依存度が高い点が懸念されるが、同社は新しい音楽グループ「TxT(トゥモローバイトゥギャザー)」を立ち上げるなど、事業の拡大を進めている。(Source:South Korea’s Financial Supervisory Service)

今となっては、収益の柱のライブイベントは先行きが不透明だ。ビッグ・ヒット関連のコンサートはすべて日程の再調整を余儀なくされ、チケットの販売も中止している(編集部註:6月14日に有料オンラインライブコンサート「BANG BANG CON The Live」を開催)。

ライブイベントがなくなったことで、同社のデジタル戦略はいっそう重要性が高まっている。もっとも、これこそビッグ・ヒットが本領を発揮できる領域でもある。事実、同社のソーシャルメディア戦略はすべてのK-POPアイドルグループのマーケティング手法のありかたを変え、BTSを世界的な現象にしたほどだ。その功労者でもある、ビッグ・ヒットのユン・ソクジュンCEOがパンデミック前にソウルでフォーブス・アジアの取材に応じた。
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文=グレース・チュン 写真=ジョン・ミン・キュ / フォーブス コリア 翻訳=フォーブス ジャパン編集部

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