「世間には色んな種類のゲーマーが居るが、ゲームで仲間とつながることを楽しむソーシャルゲーマー向けのアプリを作ろうと思った」と、バンチの共同設立者のセルカック・アトリは話す。
バンチは先日、ゼネラルカタリストが主導するシリーズAラウンドで2000万ドル(約20億円)を調達した。出資には大手ゲーム企業のエレクトロニック・アーツやテイクツー・インタラクティブ、「PUBG」で知られるKraftonも参加した。
業界の大手がこのような投資で提携するのは珍しく、これらの企業がバンチを自社のゲームに組み込む可能性があることを示している。
「ゲーム業界全体がバンチを支持している」と、資金調達をコーディネートしたゼネラルカタリストのNiko Bonatsosは話す。「私たちは次世代のゲームインフラを開発する必要がある。ユーチューブやTwitchは既に時代遅れだ。新しいゲームインフラが出現するたびに私はわくわくする」
Twitchやユーチューブが主にコンソールゲーマーやデスクトップゲーマーの領域であるのに対し、バンチはモバイルゲームを対象としている。2017年設立のバンチは、今のところ自社開発のファーストパーティのゲームに大きく依存している。
アトリのお気に入りは「Mars Dash」というゲームで、彼はその内容を「火星のマリオカート」と説明するが、バンチを使うとこのゲームを仲間と一緒に遊べるのだという。バンチはさらに、マインクラフトやRoblox、PUBGをプレイしながらビデオチャットするツールとしても利用されている。
ユーザー数が突然増えたのは今年3月のことだった。「最初はイタリアで、その次にスペインからの流入が始まった」とアトリは言う。「欧州でロックダウンされた都市から、次々と新規ユーザーが押し寄せてきた」
アトリによると、ユーザー層は徐々に変化し、最初は10代半ばの男の子が主だったが、20代から30代の女性が増えていったという。今ではバンチの利用者の60%が女性となっている。
2000万ドルの資金は新規スタッフの採用と、サーバーの増強にあてられるという。バンチは昨年11月にテンセントやRiot Games、スーパーセルなどから385万ドルを調達していた。
当面のバンチの目標は、ゲーマーに愛されるチャットアプリの「Discord」と同じポジションを目指すことだ。「カジュアルゲーマーに特化したソーシャルネットワークはまだ存在しない。彼らのためのリアルなコミュニティが求められている」と、ゼネラルカタリストのBonatsosは話した。