地元の人たちがこぞって通う 異国風味の「パリ料理」の店

「グラム」のテラス。パリでは当初9月末までだった臨時テラス席の設置が、来年6月までに延長された。


旬の野菜を用いてつくる定番の一品


外出規制期間を経て、5月の半ばにテイクアウトで営業を再開すると、これまで分かれていた、朝から食べられるメニューと、ランチタイムから提供される料理の区切りがなくなっていた。それは、イートインが復活してからも、継続された。

そして8月の半ば、夏のバカンスが明け、オープンから1年半を迎えたGrammeのメニューはさらにパワーアップした。

日替わりの、バンズを使ったサンドイッチは、シャルキュトリーにチーズと野菜のマリネを挟んだ冷たいバージョンだけでなく、仔羊肉の7時間煮込みや、サーディンのグリルにシャクシュカ(ピーマンとパプリカをトマトソースで煮込んだ北アフリカの料理)、鶏肉のパン粉揚げなど、きちんとした料理を具にした日が多く見られるようになった。

デザートはこれまで焼き菓子が中心で、注文してからつくられる甘いものはパン・ペルデュのみだったのが、日替わりのデザートが登場していた。代わりに、朝ごはんとして人気のパン・ペルデュは週末限定になった。

これは嬉しい。焼き菓子はどれも本当に美味しいのだが、結構ボリュームがあり、食事の後のデザートというよりはおやつに向いていると思っていたからだ。

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焼き菓子のケース。キャロットケーキがとりわけ気に入っている

「炭水化物を控えたから、甘いものをちょっと食べるのはいいかなあ」という言い訳が成り立つ組み合わせが実現できるようになった。

それで、「夏のアイオリ」と題された、ジャガイモ、アーティーチョーク、にんじん、カリフラワー、ラディッシュ、ゆで卵の盛り合わせに、カラスミが振り掛けられ、自家製のアイオリソースが付いたひと皿をメインにして、イチゴとマスカルポーネのクリームをミルフィーユ状に重ねたデザートで締めると、体は重くなっていないのに、口の中の欲求はしっかり満たされた。

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夏のアイオリ

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日替わりのデザート

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文・写真=川村明子

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