ニューヨーク・タイムズ(NYT)の9月17日の記事によると、2018年にフェイスブックを退社したインスタグラムの生みの親であるケビン・シストロムが、その有力候補に浮上したという。シストロムとTikTokとの間の話し合いは、まだ初期の段階に過ぎないとNYTは報じている。
フォーブスはTikTokにコメントを求めたが、回答は得られていない。シストロムの広報担当はコメントを拒否した。
TikTokの親会社である中国企業バイトダンスからの売却プロセスは、まだ進行中の段階だ。ブルームバーグは17日午後、米国財務省がTikTokの米国事業の大部分を、オラクルを含む米国の利害関係者の手に委ねることになる取引を、暫定的に承認したと報じた。
バイトダンスは20日の日曜日までにトランプ大統領の承認を得る必要があるが、その日はトランプ大統領の大統領令が発効し、米国内でのTikTokの使用が事実上禁止される日となる。
TikTokの前CEOのメイヤーは、5月に彼の起用が発表された時点では、強力な選択肢として見られていた。メイヤーはディズニーでM&A案件を監督し、ストリーミングサービスDisney+の立ち上げにも関わっていた。しかし、彼は先月、米中の緊張関係に巻き込まれることになるとは予想していなかったと述べ、予想外の辞任を宣言した。
その後はTikTokの米国ゼネラルマネージャーであるヴァネッサ・パパスが、暫定チーフを務めてきた。
TikTokにとってシストロムは非常に重要な人物だ。彼はTikTokの最大のライバルであるインスタグラムを生み出した人物であり、さらに、そのインスタグラムをフェイスブックのマーク・ザッカーバーグに売り渡したからだ。
彼は2012年に10億ドル(約1040億円)近い金額で、ザッカーバーグとフェイスブックにインスタグラムを売却し、その後、フェイスブックを離れるまでにインスタグラムの利用者数を5億人以上に伸ばしていた。
ザッカーバーグやフェイスブックがTikTokを重大な脅威とみなしていることは明らかだ。 インスタグラムは複数のTikTokの機能を模倣し、動画の編集ツールを加えたほか、コンテンツのフィードもTikTokそっくりにしている。
一方で、ザッカーバーグは昨年から、ワシントンの議員にTikTokが米国にとって重大な脅威になると警告していたことが報じられている。トランプや共和党の議員らは、TikTokが米国民の個人データを中国政府に譲り渡すことを警戒している。
そして、ここにシストロムが加わったことで、TikTok対フェイスブックの戦いは現代の企業社会における最も興味深いバトルに発展した。