Close RECOMMEND

地域経済とソーシャルイノベーション

「彼女は一歩踏み出すのに、時間がかかりそうだな」これが、和田まりあをはじめてみたときの印象だった。

私は全国で地域課題をビジネスの手法で解決する起業家育成塾を開催しているが、一番最後のスライドには「99%の人が行動しない」というスライドをいれている。地方は競合が少ない、いわゆるブルーオーシャンな状態なのだが、それでも行動する人は少ない。

目線をあわせない、質問はありますかと聞いても「ないです」と答える、休憩中も一人で殻に閉じこもっていた和田は参加者の中で最も行動を起こさなそうだった。しかし、和田は受講中にめきめきと頭角をあらわし、ビジネスコンペで「移動型コーヒー販売」のプランで最優秀賞を受賞し、全国誌に掲載された。またたく間に地域の顔の1人になった。

彼女は動かないに違いない。そう決めつけていた自分の勘は大きく外れることになる。和田を一歩踏み出させたものとはなんなのか。それを知れば、もっと多くの人がアクションを取りやすくなるのではないか。彼女のストーリーからそのヒントを得る。

自分は何もできない。自己否定の日々



講座前半の和田。自分と殻に閉じこもっているようだった(Photo by Yuta Nakayama)

和田が生まれたのは、メキシコシティ。海外協力隊をつとめる父と母の間に生まれた。メキシコでしばらく暮らした後、地元つくば市に戻る。幼い頃は、負けん気が強いガキ大将で、両親の仕事の都合で中学高校とメキシコで暮らし、常識にとらわれない活発な子だった。

帰国して国際基督教高校に編入、校内推薦で同大学に進学した。叔父を牧師にもつ和田の家族は歓迎したが、講義についていけず成績はいつも下位。親の期待に反して「自分は何もできない」という自己否定がここから生まれてきたのかもしれないと振り返る。

このまま終わりたくない


そんな時に、父親がドミニカ共和国からコーヒーを仕入れはじめた。自分自身もドミニカを訪問し、現地でのコーヒー栽培を見学した。現地で働く人たちの笑顔に自身の心も踊った。

そんな父親の背中を見て手に職を持ちたいと思うようになる。大手チェーン店の飲食店での勤務、IT企業でのweb編集の仕事をへて、地元の焙煎コーヒーの会社で修行を積んだ。

文=齋藤潤一、写真=本人提供

この著者の記事一覧へ

PICK UP

あなたにおすすめ