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I study technology disruption in individuals, companies and societies.

Andrew Angelov / Shutterstock.com

2018年前後に広まり始めた機械学習による「ディープフェイク」作成技術は、使用目的のほとんどがポルノビデオとなっており、その割合は96%に上る。うち99%は、女優や歌手などの女性有名人を使ったものだ。

現在では、著名サイトから新興の専門サイトにいたるまで、多数のポルノサイトが、ありとあらゆるセレブの顔を使ったディープフェイクポルノを提供するようになった。その質は明らかに偽造とわかるものから、本物と見分けが付かないようなものまである。

ディープフェイクポルノで特に人気の高い人物の一人であるスカーレット・ヨハンソンは、自分の画像の悪用を阻止しようと試みたものの、最終的には断念した。ディープフェイクを特定する技術は進化しているものの、問題はユーザー側がフェイクと承知した上である程度出来の良い動画を求めていることにある。ディープフェイクはひとつの産業として完成し、毎月1000本前後の動画がポルノサイトへアップロードされている。中には数千万回も視聴され、荒稼ぎしているケースもある。

政治家の中には、選挙活動や企業を標的としたディープフェイク悪用を懸念して、規制に乗り出した者もいる。しかしそうした動きも現実には追いついておらず、今や誰もが他人の肖像を思うままに操り、制作した動画を流布して金を稼げる時代になった。被害者にそれを止めるすべはない。

この行為の一番の問題は、女性を単なる性的対象とみなして搾取していることにある。さらにこのテクノロジーの使いやすさがどんどん向上ていることや、インターネットの匿名性が事態を悪化させ、コンテンツの削除をより困難にしている。例えば、誰かがリベンジポルノとして自分の画像を悪用したディープフェイクビデオを作った場合、あなたはどうするだろう?

さらにやっかいなことに、多くの国では、著名人などの一部の人々の画像についての権利は本人にではなく制作者側にあると法で定められている。カメラマンは、本人の承諾なしに著名人を撮影し、その画像を自分の思い通りに利用できる。場合によっては、本人が画像を買い取らなければならないことすらある。

現状、ディープフェイクビデオの権利は、顔を無許可で使用された本人ではなく、制作者側にある可能性がある。自分の顔を無許可で使用したビデオの配信を止めることはできないとは、いったいどういうことか。法律は本人ではなく、コンテンツの製作者の方を守っているのだ。被害者は、自分の顔を許可なく使用したコンテンツから生まれた利益の分配を求めて、契約交渉をせざるを得ないのだろうか。

これは明らかに理不尽な状況だ。でも、ディープフェイクに対して私たちは実際、何ができるだろうか? 第三者が自分の画像を許可なく自由に使用するのみならず、そこからさらに収益を上げるという状況に、私たちは甘んじる以外ないのだろうか?

編集=遠藤宗生

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