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日本でワーケーションという言葉が正式に使われ始めたのは、ほんの数年前のことだ。2018年に国土交通省が白書の中で定義したものが、政府の公式の文書では初めてなのではないかという。2017年よりテレワークの一環としてワーケーション制度を導入した日本航空の事例を取り上げながら解説している。当時の政府の狙いとして「地方創生や関係人口の増加があった」と田中教授は解説する。

「当初は、働き方改革や地方を元気付ける意味合いでワーケーションの推進が語られることが多かったです。なので、総務省や厚生労働省などが、その事業を推進していました。議論が加速したのは昨年で、『オリンピック期間中に都心部に通勤できないのであれば、東京から出て地方の自然の中で仕事したい』という話が少し盛り上がった頃ですね。ですが、今年からは新型コロナの影響もあり『国立公園でネット環境を整備してワーケーションをしよう』などと、三密対策としても注目され始めました」

ワーケーションの目的が、東京一極集中の回避や三密対策と組み合わさることで労働環境の問題よりも、観光促進の意味合いが強くなってしまったのだ。さらに、冒頭でも紹介したようにGoToトラベルと関連づけたことで、現在では観光庁の管轄に。ワーケーションの定義や考え方があやふやなまま、紐づけられる各省庁の事業が変遷してきたという背景がある。

それでは、ワーケーションとはどのような考え方があるのだろうか。ここで一度、整理したい。

田中教授は「様々な解釈の仕方がある」とした上で、以下のような4つのパターンに分けて考えられるという。

ワーケーション4つの類型
日本型ワーケーションの4つの形態(人事実務2月号『特集・柔軟な働き方のその先へ』田中教授執筆の文章より引用)

まず、休暇の中に仕事を織り込んだ「休暇活用型」は、休暇中にある一定の時間のみ働くタイプで、現在働き方改革として議論されているパターンだ。企業に属する会社員が、どうしても出なければいけない会議があるために、長期の休みが取りにくいといった課題があったが、旅行先でもある1日の午前のみ会議にリモート参加し出勤扱いにすることで休みが消化しやすくなる。

次に「日常埋込型」として「仕事と休暇を重ねて織り込んだワーケーションスタイル」がある。これは、「プランナーのような企画職、デザイナーやIT関係の仕事など、プライベートの境界線がゆるい人」に多く見られる形だ。このような職種では、日常と仕事を融合させることができるため、ノマド的な働き方もしやすく、それぞれの交流からイノベーションも生まれやすい。

また、その他にも出張の前後にレジャーを付け足す「ブリジャー」というタイプ(画像右上)や実際に社員みんなで地方を訪れ自然の中で会議をするような「オフサイトミーティング」(画像右下)もワーケーションと呼ばれる。これらの4つのパターンを踏まえ、田中教授はワーケーションの特性についてこう解説する。

「私は非日常の空間、通常の勤務先や自宅ではないところで、いつもと違う環境で仕事をすることだと思っています。例えば、地方の人がお台場で、東京の人が湘南の海辺で仕事をしていてもワーケーションだと思うんですよ。つまり、場所と時間に制約がない自律的な働き方ということです」

文=田中舞子 編集=督あかり

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