これは決して冗談ではない。アメフトの開幕が、誰もが待ち望んでいた「普段通りの生活が戻ってきた」という感覚を多くの米国民に与えるのだとしたら、これは株式市場、さらには実体経済の継続的なV字回復につながるかもしれない。そうなれば、英国、オーストラリア、スペインに続き、米国でもより多くの人々が、何かと制約が多かった6カ月を経て、自国の政府に対してさらなる経済活動の再開を求める動きに加わる可能性はある。
主要大学のアメフトチームのうち、現時点でプレイしているのは60%にすぎない。これにより、今フィールドに立てない多くの有望選手が、プロになる道を閉ざされる恐れもある。また、アメフトに限らず、高校生のスポーツ選手は、額の差はあれスポーツ奨学金を得るチャンスを失いつつある。
アメフトは、さらなる経済再開を求める人たちと、「ワクチンの完成までは引きこもる」方針の人たちをくっきりと分ける、いわば境界線のような存在だ。
ペンシルベニア、オハイオ、ミシガン、ウィスコンシンという4つの州のカレッジ・フットボールのファンは、9月12日にジョージア工科大とフロリダ州立大が試合をしたのを見て、どう感じただろうか?
アメフトの試合は、ロックダウンとの付き合い方において、恐怖心と理性のあいだの「ティッピング・ポイント(転換点)」が生まれるきっかけになるのだろうか? 実際、この夏のあいだ、パンデミックは、この国の感染の中心地となっていた北東部にほぼ押さえ込まれていた。
もし本当にそうなるなら、「かなりの強気相場が見込める」とマッカーシーは言う。
9月10日の株式市場では、S&P 500とMSCI新興市場指数(MSCI Emerging Markets Index)が、取引時間前の取引でわずかに値を上げた。
コネチカット州で9月9日に報告された新型コロナウイルスの新規陽性者数は89人だった。検査件数は約6000件なので、陽性率は約1.5%という計算になる。同州の陽性率はここ1カ月、ほぼ1%未満に収まっていた。
8月半ばの段階では、陽性率は1.4%で、一部には1%を切る検査グループもあった。同州の入院患者は7人増えて57人となったが、州内の病床数は8850床を数える。9月の第2週に入って、新型コロナウイルスによる死者は1人も報告されていない。
3月にパンデミックが始まって以来、コネチカット州での陽性者数は5万3871人に達した。その大半は、ニューヨーク州と接するフェアフィールド郡の住人であり、ハートフォード郡がこれに続く。また、州全体ではこれまでに4474人が亡くなったと報告されている。
比較のためにデータを挙げると、2018年の冬、同州におけるインフルエンザ死者数はわずか88人だった。2017年の冬には147人がインフルエンザで亡くなったが、これは同州では最悪レベルの多さだったという。