一部のホテルでは宿泊客と従業員の安全を守るため、客室のミニバーや余分な枕を撤去するなどの新たな規則を導入しているが、全てのホテルが最大限の努力をしているわけではない。米テレビ番組「インサイド・エディション」が最近行った調査では、大手ホテル数社が、宿泊客の入れ替え時にシーツの交換や清掃を怠っていたことが分かった。
また旅行情報サイト「UpgradedPoints」は先日、二つ星や五つ星を含むさまざまなホテルの共有スペースに存在する細菌の量を検出する調査を実施。その結果は驚くべきものだった。同サイトの創業者、アレックス・ミラー最高経営責任者(CEO)は「たとえ自宅をきれいに保てていない人でも、ホテルの備品は自宅にあるものよりはるかに汚い可能性が高い」と述べている。
同サイトは、ホテルの中で特によく触られるものを一般的な家庭のものと比較した結果、以下の発見をした。
・ホテルのエレベーターのボタンに付着する細菌の数は平均して、家庭のバスルームのドアノブの1477倍、家庭のトイレの便座の737倍だった。
・ホテルのドアノブには、家庭のトイレの便座の918倍の細菌が付着していた。
さらに、高いホテルがより清潔なわけではないことも判明。三つ星ホテルのエレベーターのボタンとドアノブは、全格付けのホテルの中で群を抜いて清潔だった。一方で五つ星ホテルのエレベーターのボタンには四つ星ホテルの7倍近くの細菌が付着していて、三つ星ホテルと比べるとその差は1000倍近くに上った。
ミラーは高級ホテルが不衛生な理由として「出入りする客の数と関係しているかもしれない」と指摘。「高級ホテルは稼働率が高いことが多く、エレベーターを使ったりドアノブに触ったりする人の数が多くなる」と述べ、「五つ星ホテルでも警戒心を解かないこと。衛生管理については他と同じ高水準を維持しよう」と助言している。
ホテルにはエレベーターのボタンとドアノブ以外にも避けるべき不潔な場所が多い。特に注意すべきなのが、部屋にあるリモコンなどの備品だ。リモコンは大腸菌やメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、ブドウ球菌など多くの細菌を集めてしまう。この他、ホテルに宿泊するときに気をつけるべき意外な場所は次の通り。
・部屋の椅子
ミネソタ大学公衆衛生学部の医師によると、椅子はシーツやタオルほど清掃が行き届いていないことが多く、目には見えない細菌が付着している可能性がある。
・机
自然療法医のジェニファー・スタッグは、呼吸器系ウイルスは最大4日間にわたり机の上に残る可能性があると警告している。
・カーテン
室内のカーテンが清潔だと思い込んではいけない。カーテンを取り外し、洗浄して再び取り付けるのには手間がかかるため、清掃が行き届いていない可能性がある。
・アイスバケット
アイスバケットには多くの細菌が付着している可能性がある。宿泊客が嘔吐(おうと)するときに使われることも多いため、ノロウイルスさえあるかもしれない。