バイオプラ袋は本当に地球に優しいのか サステナ担当に聞いてみた

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──実際にテストしてみて、ちゃんと土に還っているんですか?

そうですね。3カ月ほどで、手で触ると崩れるくらい分解が進みます。このままいけば半年ほどで完全に土に還りそうです。この『生分解性』という点は、今回袋を選定する上で、個人的に最も重要視した点でした。


実際に土に埋めて3カ月後のバイオプラの袋の姿。堆肥化が進んでいる。左はキャッサバ、右はトウモロコシが原料

現状、ベトナム国内のリサイクル施設はほとんどが稼働していない、もしくはキャパオーバーで、およそ85%のゴミはリサイクルされることなく埋立地に行き着くと言われています。また日本のようにゴミを焼却する施設もないため、ほとんどのゴミがそのまま山のように積み重なり、土壌や水を汚染します。そんな酷い状態の埋立地ももうどこも満杯で、「これからゴミ問題どうするんだ!」というのが今のベトナムの現状です。

この状況では、プラごみが行政によってリサイクルされることは期待できません。結果、ベトナムの現状において最も環境への負荷が低いパッケージ素材として、常温でも(つまり埋立地に行っても)最終的には土に還るような素材である必要がありました。

──生分解性を持たないバイオプラも存在するのですか?

植物性のものから作られたバイオプラが生分解性を持つ、とは限らないんです。中にはまったく生分解性を持たないバイオプラもありますし、生分解性があると言いつつも、常温では分解しないIndustrial Compostable(工業的に堆肥化可能)というものもあります。

Industrial Compostableとは、60度近くの高温の状態を作りださなければ分解が進まない素材で、つまり「生分解可能」と言いつつも、それには特殊な環境(高温かつ高湿度)を必要とします。言い換えれば、自然環境では分解しない素材なのです。

さらに、中にはバイオプラと石油から作られた普通のプラを混ぜて作られた素材もあります。これだと、仮に生分解可能だとしても、普通のプラはマイクロプラスチックとなって環境を汚染します。つまり「バイオプラ」や「生分解性」といっても、一概に土に還るとは限らないのです。

──多面的に考察しないと落とし穴があるんですね。

実際にそのようなプロダクトでも『バイオプラ』や『生分解性』と謳えてしまうのが、一般消費者だけに限らず、企業の担当者にとってもわかりづらいところなんです。よくよく調べないと、環境に良いと思って使っても、それが分解されずにゴミとして自然環境に残ってしまう、という結果を招きかねません。

こんなことを言うのは変かもしれませんが、今回Pizza 4P’sで導入した袋が正解だとも限りません。この袋を製造するためには原料となるトウモロコシを作るための農地が必要となり、それは食糧不足が懸念される現在、農地や食糧作物をパッケージに使用して良いのかという議論があります。

また、それを育てるためには大量の水が必要となります。世界的な水不足、そして世界中の水使用量のほとんどを農業が占めていることを考えると、それをパッケージのためにさらに増やすことが賢明とは言えません。
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文=国府田 淳

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