ハリポタ作者の新作が「反トランスジェンダー的」内容で大炎上

J・K・ローリング(Photo by John Phillips/Getty Images)

「ハリー・ポッター」の作者である作家、J・K・ローリングの最新作が「女性を殺害するために女装をして犯罪を繰り返す男性の連続殺人犯」であることが明らかになり、SNS上で強い反発を招いている。

ローリングは、ロバート・ガルブレイスという別名義で大人向けの犯罪小説「私立探偵コーモラン・ストライク」シリーズを出版していが、その第5弾となる最新作が「トラブルド・ブラッド」という作品だ。

この作品で描かれる悪役は、サイコパスの連続殺人鬼で、女装した男であることが判明した。これを受けて、SNS上ではローリングが亡くなったように思わせるハッシュタグ「#RIPJKRowling」が拡散し、ツイッターのトレンドに入った。

批評家や彼女の“元”ファンたちは、この作品が以前から反トランスジェンダー的な発言を繰り返すローリングの許しがたい思想を反映していると、怒りを噴出させている。

ローリングは今回の騒動についてコメントしていないが、以前もブログの投稿でトランスジェンダーに関する彼女の見解を擁護していた。「私は、政治的、生物学的階級としての女性を侵食し、捕食者に隠れミノを提供することで明らかな害を及ぼしている運動に、屈服することを拒否する」と彼女は述べていた。

トランスジェンダー活動家でジャーナリストのParis Leesによると、ブラジルでは過去1年の間に暴力を受けて亡くなったトランスジェンダーの人々の数が、70%も増加したという。若いトランスジェンダーの女性たちは殺されて車の中で焼かれているが、彼女たちを殺した男たちは、罪を問われていないという。

ローリングの年収はフォーブスの試算で2019年に9200万ドル(約97億円)に達し、世界で最も稼ぐ作家ランキングの1位に選ばれていた。彼女はここ数カ月の間、ジェンダーに関する激しい議論を巻き起こしていた。

2019年12月にローリングは、「英国においては生物学的な性別が、法律上の性別として用いられるべきであり、トランスジェンダーの女性は法的に認められるべきではない」と発言して職場を解雇された英国人女性を、ツイッター上で擁護した事で批判を浴びた。

「性別は変わらないものだと言っただけで、女性から仕事を奪うんですか?」とローリングは問いかけた。

エマ・ワトソンもトランスジェンダーを擁護


ローリングはさらに今年6月のブログで、過去に元夫のドメスティック・バイオレンスの被害者だった経験から、女性にとって安全な場所を確保することを重視しており、それがトランスジェンダーについて発言する理由だと説明したが、そのブログ記事がさらに酷評された。

その後、映画「ハリー・ポッター」で注目された女優のエマ・ワトソンらが、トランスジェンダーの人々を擁護する発言を行っていた。

今回の騒動を受けて、映画「セックス・アンド・ザ・シティ」のミランダ役で知られる女優のシンシア・ニクソンも、彼女の23歳のトランスジェンダーの息子がローリングの発言を聞いて傷ついていると、メディアの取材に話した。「これは彼にとって耐え難いことだ。なぜなら彼はハリー・ポッターの大ファンだったから」と彼女は述べていた。

編集=上田裕資

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