トランプ本著者のボブ・ウッドワード(Photo by Michael Kovac/Getty Images)

ウォーターゲート事件のスクープで知られる米著名ジャーナリストのボブ・ウッドワードが、ドナルド・トランプ米大統領と“同業者”からの批判にさらされている。

ウッドワードは9月15日に発売した新著「Rage(怒り)」のため、複数回にわたってトランプにインタビューしており、今年2月7日に話を聞いた時点で、「トランプが新型コロナウイルスの重大性を認識していながら、意図的に軽視していることを示す発言をしていた」ことが分かったにもかかわらず、すぐに公表しなかったことがその理由だ。

ジャーナリストたちは、この情報が即座に伝えられていれば、多くの人の命を救うことにつながった可能性があるとして、ウッドワードを非難している。

トランプは同日のインタビューで、新型コロナウイルスは「毒性の強いインフルエンザ以上に致死性がある」と語っていた。だが、トランプはこのころ、公には新型コロナウイルスの脅威を重要視しておらず、それから数週間、同じ態度を取り続けた。

3月9日に再びインタビューしたときには、トランプはウッドワードに対し、「パニックを引き起こさないために」、このウイルスの重大性を意図的に過小評価したことを明らかにした。

トランプはこれらの発言について、9月11日の記者会見で、「リーダーとしての強さを示したかった。われわれの国はいずれにしても大丈夫だということを示したかった」ためだと説明。

一方、ウッドワードについては、「私が間違ったことを言ったと思ったなら、それを聞いた後にすぐに、当局にそれを伝えるべきだった。そうすれば当局は対応を取ることができただろう」と批判している。

自著のための“隠ぺい”ではない?


ウッドワードは9月14日、複数のメディアのインタビューに応じた。2月7日のインタビューでは、トランプは前夜に中国の習近平国家主席と話をしていたことから、「米国ではなく、中国に及んでいる新型コロナウイルスの影響について語っている」と考え、発言の内容を公開しなかったという。

米公共ラジオ局ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)とTV局NBCの番組では、「2月のこの時点で、米国でこのウイルスは認識されていなかった」として、情報を公開しなかった自身の判断を擁護した。

また、AP通信のインタビューに対しては、情報をすぐに公表しなかったのは、トランプの発言を聞いた同日の時点では、発言の内容が正確かどうか判断できなかったためでもあると語った。

トランプの発言について、ウッドワードはこのインタビューから数カ月間をかけて調査を行ったという。そして、新型コロナウイルスの脅威についてロバート・オブライエン国家安全保障顧問がトランプに説明した時期が(2月7日より前だと)確認できたのは、すでに米国でも新型コロナウイルスの脅威が広く認識されていた5月のことだと明らかにした。

ウッドワードはNPRに対し、「米国民が知らないことで、知らせるべきことがあると思えば、どの時点であれ、その時点で知らせる」と述べている。

編集=木内涼子

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