経済・社会

2020.09.17 06:30

トランプ大統領、再選キャンペーンでは異例の自己資金投入の構え

Photo by Drew Angerer/Getty Images

Photo by Drew Angerer/Getty Images

トランプ米大統領の再選キャンペーンが資金不足に陥っているとの報道があるなか、同氏は9月8日、記者団に対し、2期目を確実にするためポケットマネーをつぎ込む意向を示した。大統領選のライバルであるジョー・バイデン候補を破るために「必要とあらばいくらでも」使うつもりだと述べたのだ。

「必要ならそうする」と同氏は述べ、「勝たなくてはならない」と強調した。激戦州のフロリダとノースカロライナで開催されるイベントに登壇するため、8日にワシントンD.C.を離れる直前のことだ。

この発言は、ビリオネアである同氏が、必要に応じて選挙キャンペーンに最大1億ドルの個人資産投入を検討中だと報じた、8日付けのブルームバーグ報道を裏付ける。

トランプは2016年の選挙キャンペーンに6600万ドルの自己資金を投入したが、現職大統領が2期目の選挙キャンペーンで自腹を切るのは異例だ。

ニューヨーク・タイムズによると、トランプ陣営は再選キャンペーンで、2019年以降に調達した11億ドルのうち8億ドル以上を早々に使い果たした。今春の時点ではバイデン陣営に資金力で2億ドル近く優位に立っていたが、それを失ったとのことだ。

報道によれば、現在および過去の選挙運動員や、トランプ支持者の数十人から、トランプ陣営は資金逼迫に直面しているのではないかとの懸念の声が出ている。現在は選挙まで約50日、キャンペーンが最もヒートアップする時期にさしかかっている。

これまでの支出のなかには、軽率としか思えないものもある。例えば、マイケル・ブルームバーグに対抗するためのスーパーボウル広告2件の購入費1100万ドル。献金者たちが資金調達イベントでトランプの発言をこっそり録音してリークしないよう、携帯電話をしまう磁気ポーチの販売会社に支払った約11万ドル。あるいは、元ボディーガード兼ホワイトハウス補佐官だった人物への支払いなどだ(ホワイトハウスの仕事を終えた2017年以後も、その人物が経営する企業が、共和党全国委員会からセキュリティ関係の仕事の対価として50万ドル以上を受け取っていたことが報道された)。

トランプは8日にツイッターで、自身の選挙キャンペーンが「チャイナ・ウイルスに対するわれわれの対応を貶める虚偽報道やフェイクニュースに先手を打つため、多額の資金を費やした」と嘆いた。

フォーブスの調べでは、2019年9月以降、トランプの純資産は6億ドル減少し、現時点で25億ドルとみられる。

トランプ陣営の選挙対策本部長を務めるビル・ステピエン(Bill Stepien)は8日、「慎重に予算を管理している」と述べ、選挙前に問題を抱えることはないとした。

対するバイデン元副大統領の陣営は、出馬の時点では比較的資金に恵まれていなかったが、ここ数か月で差を縮めている。バイデン陣営と民主党全国委員会は8月に3億6500万ドルを調達。月間獲得資金額の新記録を打ち立てた。

財務報告によると、バイデン陣営は7月までに約4億1400万ドルを費やした。対して、トランプ陣営は8億ドルを費やした。8月の時点で、トランプは再選のため、過去のどの現職大統領よりも多くの資金をキャンペーンに費やしている。

翻訳=的場知之/ガリレオ

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