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全米レコード協会(RIAA)は先日、2020年の音楽業界の売上データの中間報告を発表した。そこではいくつかの重要な指標が示されたが、特に目立ったのはダウンロード売上の激減ぶりや、CDがほとんど死にかけていることだった。

音楽業界の売上がピークに達した1999年当時のCDの売上は130億ドル(約1兆3700億円)で、業界全体の売上の90%近くを占めていた。しかし、昨年のCDの売上はわずか6億1400万ドルで、その比率は5.5%まで低下していた。

さらに、CDの売上はここ1年で急減したことも明らかになった。2020年から昨年まで、CDの売上の減少は年率20%程度で推移したが、2019年の上半期から2020年の上半期にかけて48%もの急落に襲われていたのだ。

2020年上半期のCDの売上はわずか1億3000万ドルで、業界全体に占める割合は2.3%にまで縮小している。CDは現在、着メロや音楽ビデオのダウンロードなどの非常にニッチなカテゴリを除くと、音楽業界で最も売上が少ないカテゴリとなっている。

一方で、ダウンロード配信の売上も減少が続いている。2020年上半期のダウンロード売上は3億3000万ドルで、前年同期から23%の減少となった。ダウンロードは2012年にピークに達したが、その後は減少が続いており、ストリーミングとアナログの中間に位置するその場しのぎのカテゴリでしかないことが明らかだ。

さらに、近年好調ぶりが伝えられるアナログレコードの売上も、高止まり傾向にある。2020年上半期のレコード売上は、2億3200万ドルで前年同期比で3.6%のプラスだが、これは業界全体の成長率の5.6%を下回っている。レコード売上がピークに達したのは2015年のことで、当時は業界全体の5.5%を占めていた。しかし、現在は4.1%に低下している。

しかし、このデータはアナログレコードやCDのマーケットプレイスとして知られるDiscogsのデータとは対照的だ。世界最大のアナログ版のオンラインストアであるDiscogs.comが先月開示した売上レポートによると、同社のレコード売上は前年比34%の伸びとなったという(最も売れたのは、デヴィッド・ボウイの「Ziggy Stardust」だったという)。

ただし、この数値はあくまでもDiscogs.comのみの売上であり、業界全体の動向を示すものではない。Discogs.comの売上が伸びた背景には、世界のレコード店がパンデミック後に店を閉め、オンラインストアに在庫を放出したことがあげられる。

ストリーミングが業界の売上の6割


近年の音楽業界の成長を牽引するのがストリーミングだ。スポティファイやアップルミュージック、アマゾンの音楽配信部門などの売上の合計は、2020年上半期に33億5000万ドルに達し、音楽業界全体の59%を占めていた。

ここで注目すべきは、広告つきの無料配信のストリーミング(ユーチューブやスポティファイ・フリーなど)の売上成長率が2.7%で、業界全体の成長率を下回った一方で、スポティファイやグーグルが無料ストリーミングから有料版に顧客を送り込むことに成功していることだ。さらに、パンドラやSirius XM、iHeartRadioなどのラジオ型の有料ストリーミングも売上を伸ばしている。

RIAAが今回発表したデータは、音楽業界の売上の拡大が続いていることを示している。しかし、2020年上半期の売上は、前年同期比でわずか5.6%のプラスに留まっていた。これに対し、2018年から2019年にかけての成長率は13%に達していた。

音楽業界の主要な収入源はデジタルに移行したが、パンデミックの影響は避けられなかった模様だ。

編集=上田裕資

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