ロケット企業Astraが打ち上げ失敗、イーロン・マスクが激励ツイート

John Kraus / ASTRA

米国の小型ロケットのスタートアップ「アストラ(Astra)」は9月11日、アラスカのコディアック島で実施したロケットの打ち上げに失敗した。しかし、同社は迅速に再チャレンジを行うと述べている。

カリフォルニア州に本拠を置くアストラのRocket3.1ロケットは11日、コディアックにある太平洋宇宙港PSCAから発射されたが、安全装置が作動し飛行が中断した。

「ロケットは発射台から離陸したが、第1ステージの燃焼中に飛行は終了した」と、アストラはツイッターで報告した。公式サイトに掲載された情報によると、打ち上げプロセスの初期段階は成功したが、誘導システムが振動を検知し、安全システムによってエンジンがシャットダウンされた模様だ。

「目的の全てを達成することはできなかったが、貴重な経験を積むことができ、貴重な飛行データを得ることができた」と同社は述べている。「今回の打ち上げにより、今後2回以内の追加フライトで軌道に到達する目標が設定できた。この結果に満足している」とアストラは述べ、「再びチャレンジを行う」と宣言した。

アストラは小型衛星を軌道上に送り込もうとするスタートアップの1社だ。この分野の市場リーダーは、ニュージーランドから打ち上げを行っている米国のロケットラボ(Rocket Lab)とされている。

アストラによると、同社のロケットは50~150kgの重さの衛星を地球上500kmの軌道まで運べるという。同社は2021年から2022年にかけて顧客のために飛行を行おうとしている。

しかし、これまでは不運と遅延の連続だった。最初の3.0ロケットは風で破損し、打ち上げ前のテスト中に問題が発生した。その後継機である3.1は、天候やセンサーの問題で何度も打ち上げスケジュールを延期していた。

しかし、アストラCEOのクリス・ケンプは粘り強い姿勢で、ミッションを続けていくと宣言し、「我々はここでホールインワンを打つつもりはない。3回のフライトで十分な経験を積むことを目標としたい」と話していた。

スペースXのCEOであるイーロン・マスクは、アストラの努力を称え、ツイッターで次のように述べた。「私は、君たちの努力がいつか実を結ぶと確信している。当社も4回のトライアルを経て、ようやくロケットを軌道に送り込めた。ロケットというのは大変なものなのだ」

小型ロケットで衛星を打ち上げようとしている企業には、アストラのほかにも英国のオーベックス(Orbex)やスカイローラ(Skyrora)、米国のヴァージン・オービット(Virgin Orbit)、ドイツの新興企業イザール・エアロスペース(Isar Aerospace)などがある。

これほど多くの企業が事業を成立させるほどの余地が、小型衛星市場にあるのかという疑問も浮かぶが、だからこそ、この分野のスタートアップは、出来るだけ早期にロケットを軌道に乗せようとしている。

編集=上田裕資

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