世界を歩いて見つけたマーケティングのヒント


消費者はニッチかつ本物のコミュニティを求める


今回紹介するDuolingoは3億人のユーザーを抱え、「世界ナンバーワン外国語学習法」を自認する。コアなファン、つまり「信者」も多く存在する。筆者もアプリユーザーの一人だが、ゲーム感覚で外国語を学習できる点が気に入っている。少しずつ(本当に少しずつ)難易度が上がっていく設計も、人気の秘訣だと感じる。

Duolingo、外国語学習
継続して学べる仕組みを構築したDuolingo(Webサイトより)

Duolingoはいかにして「カルト・ブランド」となったのか。カンファレンスでは、Duolingoのコミュニティ責任者であるローラ・ネスラー氏が、「本物のコミュニティを育てる」と題し登壇。「コミュニティ構築」の重要性について説いた。

ネスラー氏は、かつてローカルビジネスの口コミサイト「Yelp」に9年間在籍。13カ国で80以上のYelpコミュニティの立ち上げに携わった実績を持つ。

何よりコミュニティ構築を重視するDuolingo。それは「コミュニティがビジネスを成長させる」という考え方に基づくものだ。マーケティング業界には「マーケティングファネル」と呼ばれる概念が存在する。大勢のオーディエンスを集めて、徐々に顧客へと育成していくという考え方である。最終的に顧客となるのは、当初のオーディエンスからすると、ごく限られた人数となる。

Duolingoはこれとは逆の考え方を採用する。少数のコミュニティマネージャーの努力によってコミュニティが拡大していき、最終的に大勢の顧客を獲得するというものだ。ネスラー氏はこの概念を「コミュニティファネル」と呼ぶ。

マーケティングファネル、コミュニティファネル
マーケティングファネルとコミュニティファネルの比較(カンファレンスのプレゼン資料より)

ネスラー氏は「消費者はニッチかつ信用に値する本物のマイクロコミュニティを求めている」と指摘。コミュニティを維持するために100カ国以上で継続的にイベントを開催していると説明する。

顧客との「コンテンツの共創」


「コミュニティ」はカルト・ブランディングのキーワードだ。カンファレンスの別のセッションでは、「信者はそのブランドに所属している」という解説があった。つまりブランドのコミュニティに所属した状態は、「信者」の要件の一つといえる。

コミュニティに所属してもらうためには、商品・サービスの質を磨き続けることが求められる。Duolingoはユーザーからのフィードバックを常に収集しており、それが学習コースの開発に生かされている。顧客の声に耳をすませることは、サービスの質を高めるために必要な作業といえる。また驚くことに、Duolingoの学習コースはボランティアによって開発されているという。コンテンツがコミュニティ内で次々と生み出されていくのだ。「共に創り上げる仕組みの構築」もカルト・ブランディングで重視される要素であり、Duolingoの「コンテンツの共創」はこれを体現しているといえる。

文、写真=田中森士

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