総ガラス張りのドーム型店舗をデザインしたのは、世界各地のアップルストアを設計しているフォスター・アンド・パートナーズ(Foster + Partners)だ。表面を覆う114枚の曲面ガラスは、わずか10本の細長い縦仕切り(構造部材)だけで接合されている。
アップルは7月末にも、タイのバンコクで、フォスター・アンド・パートナーズが設計したアップルストア旗艦店をオープンしたばかりだが、そちらはガラスの円筒形だ。
シンガポールの新アップルストアは、有名ナイトクラブ「アヴァロン(Avalon)」があった場所だ。店内に足を踏み入れると、360度のパノラマビューで、立ち並ぶ高層ビルを楽しめる。うっとりするような新しいショッピング体験は、世界各地のアップルストア512店舗では味わえない、この店舗ならではのものだ。
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シンガポールにはほかにも、2つのアップルストアがある。高級店が立ち並ぶオーチャード・ロードにある最初の旗艦店と、ジュエル・チャンギ・エアポート店だ。アップルは40年前からシンガポールに深く根差してきた。1981年にアン・モー・キオ通りに構えた最初のオフィスでは、世界中で販売されたApple II(アップルツー)コンピューターのプリント基板を製造していた。
シンガポールの新旗艦店は、広さが約1580平方メートルで、3つの特徴あるゾーンに分かれている。まずは、岸とドーム状の店舗を結ぶオープンエアのボードウォークだ。ここを通ってドームに入ると、高い天井の中央に、ローマにある古代神殿パンテオンに着想を得た円窓があり、自然の光が店内を照らしている。一方で、何重にも配された白いバッフルプレートが、降り注ぐ熱帯の暑気と強烈な太陽光を遮っている。ガラスの壁沿いには植物がぐるりと配置されており、シンガポールを彩る豊かな緑を讃えている。
ドームの店舗内には、さまざまなイベントが行われる「ザ・フォーラム」と呼ばれるスペースがあり、薄くてベゼルのないデザインの、アップル製の巨大な新世代LEDビデオウォールを中心に構成されている。ここでは、「Today at Apple」セッションのほか、特別イベントも開催される予定で、シンガポールのアーティストやミュージシャン、クリエーターたちのステージとなる。