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Photo by Scott Olson/Getty Images

米国では2020年夏、自動車を利用する人が前年と比べて減少した。これは、新型コロナウイルス対策のために地方自治体や州政府が活動制限を継続していたことや、多くの人が依然として不安を抱えていること、さらに現在の高い失業率を考えると、当然予想できることだ。しかし、自動車の利用が減ったことは、それだけでは、原油の全般的な需要低下を説明しない。石油価格の低迷を招いた最大の理由と言えるほどではないのだ。背景にはほかにも、世界経済の低迷や、航空業界の崩壊、投機家の懸念などがある。

米国で消費される週当たりのガソリン量を大まかに把握するには、米エネルギー情報局(EIA)が公表する、全米のガソリンスタンドに供給されるガソリン量についてのデータを見ればいい。7月から8月にかけての9週間(ただし、9月第1月曜日のレイバーデー直前の1週間は除く)を比較すると、2020年は前年と比べて、全米のガソリンスタンドに配送された量が平均で9.74%減少したことがわかる(注:8月後半に米南部を襲ったハリケーン「ローラ」の影響で、メキシコ湾沿岸地域の精製所が混乱したため、数値には若干の偏りが見られる)。

2020年夏のガソリン供給量は、平均で週当たり93万8000バレル減少した。米エネルギー情報局によると、米国の精製所では「1バレル(42ガロン)の原油から、19ガロン~20ガロンの自動車用ガソリンが生産されている」ということなので、原油量に換算すると、1日当たり28万1000バレルの減少となる。

新型コロナウイルスのパンデミックが発生する以前は、米国での原油需要は1日2000万バレルを超えていた。言い換えると、2020年夏に減少したガソリン供給量は、前年総需要の2%にも満たないということになる。

国内移動は減ったが、全般的な原油需要にそれほど大きな影響を与えているわけではない。自動車の利用は、今後も原油消費の指標として使われるだろうが、それに頼りすぎないよう注意する必要がある。原油需要が2019年水準まで回復するのが待たれるが、その動向を示す指標はひとつだけではない。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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