男性の比率が最も高いのはアジア企業だ。日本企業がこの点で後れを取っていることは驚きではない。一方の中国では、テック企業の女性経営幹部の割合が米企業よりも大きい傾向にあるが、ゲーム業界は例外となっている。ゲーム業界をけん引し、最大の市場シェアを占めるアジア太平洋地域の状況は憂慮すべきであり、より大きな注目と懸念を集めてしかるべきだ。
トップ14社のうち、経営陣に女性が一人もいない企業は中国のゲーム大手テンセント(騰訊)を含め5社あった。これがなぜ問題なのかというと、ゲームでの女性と男性のユーザーの好みが異なるからだ。男性はシューティングゲームを好み、女性は戦略ゲームやシミュレーションゲームを好む傾向にある。
女性幹部のいない企業では、女性消費者を理解しようとする能力や関心が企業文化によって妨げられている可能性がある。だが、ゲーム市場が爆発的な成長を遂げている今、こうした企業は果たしてジェンダー問題を気にかけるだろうか? ロックダウンでテレビの前に延々と座るようになった数十億人が、数十年前に脱却したはずのステレオタイプにどっぷりと浸かることを、私たちは気にかけるだろうか?
この巨大業界は密かに文化の主要な担い手になりつつあり、今後は広く世界的な影響力を持つようになるだろう。映画業界では作品内のジェンダーバイアスを測る「ベクデル・テスト」が役立ってきたが、映画よりもはるかに広く普及しているゲームにはまだ十分な注意が向けられていない。今は、私たち全員が画面に映るものについて、そしてゲーム企業の経営陣についてもっと関心を寄せるべき時にある。