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パンデミックから命をまもるために


泉山:街にオープンスペースをつくり出す活動として、「パークレット」はとても興味深いですよね。近年この考え方は、日本でも増えてきています。例えば横浜の元町、神戸にもパークレットと同様の事例がありますね。


サンフランシスコ発祥の「パークレット」。ソーシャルディスタンスの観点からも注目されている(写真=泉山塁威)

太刀川:ちなみに、他にもウィズコロナ時代のオープンスペースとして興味深い事例ってありますか。

泉山:パークレットに似ていますが、オープンカーブと呼ばれる取り組みも面白いのではないかと思います。「カーブ」というのは縁石という意味で、ここでは車道の1車線を指す言葉です。

パークレットはウッドデッキを用いたりする常設的な取り組みですよね。これに対して、1車線分だけ車の通行を止めてしまって、一時的にオープンスペースにする動きが出てきたんです。これはカーブサイドマネジメントと呼ばれたりもします。

ただ、日本は海外のように道路が広くないので、考えさせられる部分もあります。個人的には今後、自動車が減っている地域の道路などで、日本でどのようにカーブサイドマネジメントを取り入れていくことができるかに注目しています。

日本でも注目される「ウォーカブル」な街づくり


太刀川:日本は海外の事例を参考にしつつも、独自の方法を模索していく必要がありそうですね。日本ではどのような試みが行われているのでしょうか。

泉山:新型コロナをきっかけに「ウォーカブル」と呼ばれる歩きやすい都市を目指す政策が、日本でも一気に注目されるようになっています。これは公園や空き地や道路をもっとシームレスにしていこうという発想のことで、オフィスなどの建物の1階部分をガラス張りにしたり、オープンカフェを作ったりする動きが積極的に支援されています。居心地が良く、歩きたくなる街をつくっていこうという狙いですね。

ただ「ウォーカブル」という発想が、新型コロナをきっかけにして以前よりも注目されるようになったのは、それが単に「街を歩きやすくする」だけの施策ではないからなんですね。実は「ウォーカブル」な設計の多くは、人々の視線が外に向けて解放されることに繋がります。これはソーシャルディスタンスの観点からみても、とても良いことなんです。

太刀川:コロナ禍の影響で街づくりのコンセプトが新しく生まれたというよりも、以前から存在していた発想の価値が再認識されて、急速に存在感を増してきたわけですね。言い換えれば、街を豊かにするための設計が、同時に新型コロナ対策にもなるということで見直された。「ウォーカブル」については国土交通省も動き始めていますね。

街を素敵にするための設計と新型コロナ対策として必要とされる設計が一致し始めているのは、非常に面白い現象だと思います。

今回は、東京のような過密都市がウィズコロナ時代にどのようにオープンに変化していくべきかについて、海外の事例に基づきながら話した。ニューヨークやサンフランシスコのような路上を活用した興味深い施策を参考にしながら、健康で過ごしやすい東京へと変化していくことを期待したい。次回の対談では「ウィズコロナ時代に求められる通勤やオフィスのあり方」についてお届けする。


連載:パンデミックから命をまもるために
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文=加藤朋子

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