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肖さんがDMMに入社したのは、2016年10月。最初に配属された仕事は、アニメ企画製作の新規事業部の海外営業担当だった。新しく立ち上げられた部署なので、当然、社内に経験者はおらず、ほとんどが手探り状態。そのなかで肖さんは、翌年に配信を予定しているとあるアニメ作品の海外バイヤーを見つけ、わずか3カ月で契約をまとめるという仕事を任され、結果、無事成功に導いた。

肖さんは「当時が1番大変だったけど、3カ月頑張れば結果が出ることがわかったので自信につながった」と言い、続けて、「会社が外国人である自分を信用して仕事を任せてくれたおかげで一人前に近づけた」と言った。今では、どんな新規案件がきても、怖いものはないのだそう。それほど、最初の案件で大きな自信を得ることができたのだ。

また、あえて「ジェンダーの壁」について尋ねると、林さんは、「たしかに男性よりも女性の方が下に見られることはあると思う」と答えた。実際に、営業を担当した最初の頃には、若い女性の声というだけで取引先から厳しい意見をもらうこともあったという。しかし、真摯に向き合い、愚直に取り組むことで、中国人である、女性であるということに関係なく認めてもらうことができたのだそう。「林さんがいてくれて助かりました」と言ってもらえたときが、仕事のやりがいを感じるときだ。

2人の魅力について、DMMのメンバーは「当たり前のことを、ちゃんとやる。やり切って、さらに高みを目指すところ」をあげた。2人が大賞を受賞できたのは、テクニックや小手先のTipsではなく、地道に、愚直に努力を積み重ねた結果だろう。

林さんは、「中国は、世界一人口が多い国です。1クラスは70人〜100人、1学年に1000人以上の生徒がいる学校に通っていたので、幼い頃から競争心が身についていました」と、自身のルーツである中国についても話してくれた。良い学校に入るために、朝7時半から夜10時まで勉強するのが日常だった。そのため、日本に来てから「すごいね」と言われる努力は、林さんにとっては「当たり前」なのだという。

「努力できるのも才能」というが、その才能に本人が気づかないほど、努力することが当たり前になっていることこそが、言葉や国境、ジェンダーなどのあらゆるチャレンジの壁を乗り越えた要因のひとつに思う。

最後に今後やってみたいことを聞くと、林さんは、「未来の子供たちに青い空と青い海を残すため、エコ事業に取り組みたい」。肖さんは、「日本のデザインは素晴らしいので、日本人の建築家やデザイナーと中国企業をつないで、中国に日本のデザインを広めたい」と話してくれた。どちらも、何にでもチャレンジできるDMMらしい、新たな取り組みだ。そしてきっと、2人は本当にチャレンジするだろう。

冒頭、「中国出身のメンバーが大賞を受賞する、という大きなサプライズで幕を閉じた」と書いたが、実際のところ、DMMグループは、それをサプライズとは思っていない。DMMグループでは、外国人が活躍することも、女性が成果を出すことも、そしてそれが評価されることも、当たり前なのだ。

そんなDMMグループで働く、林さんと肖さんをはじめとした4000人のメンバーの皆さんは、次にどんな面白いものを見せてくれるのだろうか。

企業だけでなく、そこで働く人々にも一層興味をもつきっかけとなる、DMMアワード2020だった。

インタビュー=谷本有香 文=伊藤みさき

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